2015 Fiscal Year Research-status Report
熱による新規骨形成促進法の開発:マグネタイト微粒子の応用
Project/Area Number |
26670659
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 佳弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50332698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 英史 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60635572)
生田 国大 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40732657)
加藤 竜司 名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (50377884)
本多 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70209328)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医学 / 医療・福祉 / 臨床 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.臨床応用をめざした適切な鉄製剤およびキャリアーの評価:(1)SDラット脛骨内に小欠損を作成し、マグネタイト包埋リポソームを臨床適用のある鉄製剤であるリゾビストに、キャリアーとしてアルギン酸ゲルの代わりに臨床適用のある人工骨であるリジェノスにそれぞれ変更して局所が加温されるシステムで骨新生を評価した。加温群においてリジェノス内に旺盛な骨新生が見られ、対照群と比較して有意差を認めた。43-46度で旺盛な骨形成が得られることを確認した。(2)加温条件の解析:単回加温と複数回加温による骨新生を同様のラットモデルで評価した。複数回加温の方が、骨新生に有効であることが明らかとなった。 2.加温による遺伝子・タンパク発現プロファイリング:骨芽細胞へ分化するMC3T3細胞と軟骨分化を経て骨化にいたるATDC5細胞をin vitroにおいて単層培養し、加温群と対照群における骨分化マーカー遺伝子・蛋白の発現変化を評価している。 3.ウサギによる実験:ウサギ脛骨内に小欠損を作成し、ラットより大きな動物における加温の骨新生への影響を評価した。ウサギにおいても加温群において良好な骨新生が見られた。アルギン酸ゲルとマグネタイトリポソームの組み合わせ時よりもリジェノスとリゾビストの組み合わせの方が、キャリアー内への骨新生が有意に増加することが明らかとなった。 4.論文化:2015年に受理された論文(Ikuta K, Nishida Y et al, Int J Hyperthermia, 2015; 31: 58-66)は、Int J Hyperthermia誌の年間Best Paper賞に選定された。リジェノスとリゾビストの組み合わせについては投稿準備中である。 5.特許出願:本発明(出願番号:PCT/JP2014/064920)に関して米国移行を開始した(クレーム英訳を作成し、提出)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は「マグネタイト包埋リポソームを利用した加温システムによる新規骨形成法を開発する」を目的としている。平成26年度に、マグネタイトリポソームとアルギン酸ゲル複合体を交番磁場下に加温することにより、ラット骨欠損モデルでは旺盛な骨形成が得られることを明らかにした。臨床応用をめざすために、すでに臨床適用となっている鉄製剤のリゾビストをマグネタイトリポソームの代わりに、人工骨として臨床適用されているリジェノスをアルギン酸ゲルの代わりに使用し、交番磁場下の加温で有意に骨新生が促進されることを明らかとした。 本研究内容を論文化(Ikuta K, Nishida Y et al, Int J Hyperthermia, 2015; 31: 58-66)し、2015年の受理雑誌における年間Best Paper賞を受賞した。また平成26年度にPCT出願し、審査官に「新規性及び進歩性あり」と判断されたため、現在米国移行を実施している。 in vitroでの加温による遺伝子・タンパク発現プロファイリングについては、ATDC5細胞とMC3T3細胞による単層培養+加温のシステムを構築したため、解析の準備が整っている。 既存の臨床適用のあるデバイスを使用して加温の骨新生促進効果が確認されたことにより、医師主導臨床研究を立案し、現在名古屋市立大学との共同研究契約締結を進めている。また本臨床研究については名古屋大学医学部生命倫理審査申請の準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
「マグネタイト包埋リポソームを利用した加温システムによる新規骨形成法を開発」し、加温による骨形成「臨床試験の計画と実施」を出口戦略とするための推進方策をとる。また非臨床POC取得の実験を進める。 1.臨床適用のある鉄粒子(リゾビスト)とハイドロキシアパタイト(リジェノス)複合体によるin vivo実験の継続:すでに臨床応用されているリジェノスに鉄粒子であるリゾビストを浸漬させ、in vivoにおいてラットより大動物であるウサギにおいて骨新生を評価する。加温温度・加温回数と骨形成の関連を詳細に検討する。一旦形成された骨が、加温後どのように吸収・消退していくかを軟X線にて評価する。 2.in vitroにおける加温による遺伝子・タンパク発現プロファイリングの解析:加温による骨形成細胞、前駆細胞による遺伝子・タンパクプロファイリングは解明されていない。これまでに構築したATDC5細胞、MC3T3細胞培養系を使用して、恒温槽による加温による遺伝子・蛋白発現プロファイリングを明らかにする。 3.特許の海外移行:国際特許出願し、新規性を認められた本発明に関して、米国移行の申請し、承認をめざす。 4.医師主導臨床研究の立案と実施:本発明については臨床応用をめざしてPMDA面談を済ませている。その助言に基づいて、医師主導臨床研究によるヒトでの有効性を評価する。臨床適用となっている加温装置(サーモトロンRF-8)を使用している名古屋市立大学と共同研究契約を締結し、本臨床研究を進める。
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Causes of Carryover |
in vitroでの遺伝子・タンパクプロファイリングのシステム構築ができあがったところで、コストがかかるプロファイリング解析自体が延期されたため。ウサギを用いた動物実験に遅れが生じ、それに伴う各種実験にかかる費用を次年度使用としたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
in vitro加温実験による遺伝子・タンパクプロファイリング解析、ウサギによるin vivo実験各種、人工骨各種(ハイドロキシアパタイト、β-TCP)と鉄粒子との複合体による加温評価実験。
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[Presentation] 温熱刺激による新規骨形成促進法2015
Author(s)
生田国大, 浦川浩, 小澤英史, 濱田俊介, 石黒直樹, 西田佳弘
Organizer
第124回中部日本整形外科災害外科学会・学術集会
Place of Presentation
ホテル日航金沢(石川県金沢市)
Year and Date
2015-04-10 – 2015-04-11