2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26670663
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丸山 健太 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (60724119)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 質量顕微鏡 / PTH / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者数が1000万人を超えるとされる骨粗鬆症の解決は喫緊の医学的課題である。現在、骨粗鬆症治療の主力は骨破壊抑制薬が中心となっているが、骨形成の促進を期待することができない点で理想的な薬剤とは言い難い。近年、副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)の間欠的投与が骨形成を促進させることが明らかとなり、骨破壊抑制薬に変わる夢の新薬として脚光を浴びている。しかし、本製剤はその詳細な作用機序が明らかとなっていない上、高額な薬価に加えて連日の自己注射を長期にわたり続ける必要がある。本研究では質量顕微鏡(Mass Microscopy)を用いることでPTHをマウスに間欠投与した際の皮質骨で発現が変化する分子群の網羅的データを採取し、その情報から骨代謝を制御する新規分子やシグナル伝達経路の推定を行った。その結果、PTHの間欠投与が皮質骨内部にホスファチジルセリン(PS)などの脂質を誘導する可能性が示唆された。老齢マウス骨組織では加齢とともに炎症を促進するSenescence-associated Secretory Phenotype(SASP)因子であるIL1の発現が上昇しており、IL1はin vitroにおける骨芽細胞や間葉系幹細胞による骨形成を抑制した。一方、IL1とともにPSを加えて培養したところこの抑制効果は消失した。以上より、PSはSASP因子による骨形成阻害を抑制していることが示唆された。そこで現在、PSを用いたマウス加齢性骨粗鬆症や骨欠損モデルの治療実験を計画中である。また、申請者らはPS以外にIL1シグナルをブロックする方法としてMyD88の阻害ペプチドを独自に開発し、当該ペプチドがマウス骨損傷モデルの治癒を著明に促進させることを報告した。
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Research Products
(11 results)