2015 Fiscal Year Annual Research Report
滑膜細胞の活性化機構:伸展刺激にともなうp53の機能低下
Project/Area Number |
26670670
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
田中 康春 琉球大学, 医学部, 教授 (20124878)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 関節炎 / NFκB / Cox-2 / グルコサミン / 滑膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節滑膜細胞は変形性関節炎の病態形成において主要な役割を果たしており、炎症性刺激に応答した過剰な増殖が滑膜の肥厚を招来すると考えられている。筆者は以前に、滑膜細胞の機械的伸展刺激が、NFκBの活性化を介した炎症誘導因子の発現を誘導することを報告したが、一方で機械的刺激にともなうp53の恒常的な発現低下が滑膜細胞の増殖に関与するという仮説を立てて、本研究で取り組んできた。しかしながら、再度の実験においてp53の顕著な低下を検証できなかったことから、本研究目的を、伸展刺激にともなう滑膜細胞における炎症誘導因子の発現を抑制しうる物質を探索する方向へと舵を切った。 グルコサミン(GlcN)は、膝の関節軟骨の再生や痛みの軽減に効果があるとされているが、関節に対する効果に関する医学的根拠は、まだ十分ではない。筆者は、伸展刺激にともなうウサギ関節滑膜細胞 (HIG-82)に対するGlcNの効果を検討した。HIG-82にNFκB応答性のレポーター遺伝子を導入後、5 mM GlcNで前処理し、その後伸展刺激(120 %伸展、1,800 cycle/h、1時間)したところ、NFκB応答性遺伝子の発現は有意に抑制された。一方、コントロールの5 mMグルコースでは逆に発現亢進が観られた。又、伸展刺激に伴うNFκB応答性で、炎症誘導に関わる内在遺伝子であるCox-2(シクロオキシゲナーゼ2)の発現亢進もGlcNで顕著に抑制され、同程度の効果は類似化合物N-アセチルGlcNでも観察された。又、ホルボールエステル刺激にともなうCox-2発現もGlcNで強く抑制された。これらの結果は、GlcNのには伸展刺激に伴う滑膜細胞の活性化を抑制する作用を有するという新たな知見が得られたことを示している。
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Research Products
(1 results)