2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670674
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松尾 光一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40229422)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨代謝 / ミネラリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
骨の石灰化は、カルシウム(Ca)と無機リン酸(Pi)からなるヒドロキシアパタイト結晶が、コラーゲン線維に付着することで進行する。申請者らは、チロシンキナーゼ型受容体EphA2 を欠損するマウスでは石灰化が亢進していること、そのマウス頭蓋骨由来の骨芽細胞がin vitro における予備実験で「大きな基質小胞」を分泌することを観察した。 頭蓋骨由来の骨芽細胞の初代培養系から「基質小胞」を超遠心法や、exosome精製法などで回収し、ナノ粒子解析装置(NanoSight)を用いて、野生型とEphA2欠損マウス由来の試料を比較解析した。脂質二重膜で完全に覆われている基質小胞では、有意なサイズの違いは検出されず、むしろヒドロキシアパタイト結晶が脂質二重膜を突き破って成長していると考えられる「石灰化球」の成長速度が、EphA2欠損細胞由来のサンプルでは速いことが示唆された。一方、3点曲げ試験では、EphA2欠損マウスの長管骨の骨強度が、野生型マウスに比べて高いことがわかった。さらに、マイクロCTを用いた新たな解析でも、成長板直下のミネラリゼーション亢進が裏付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EphA2欠損マウスと野生型マウス由来の長管骨における遺伝子発現をマイクロアレイで比較したところ、特定の塩素イオンチャンネルの遺伝子発現が、EphA2欠損マウスで極めて有意に増加していた。これは、骨芽細胞の骨形成面をアルカリ化して、ミネラリゼーションを亢進させる要因になっている可能性があり、石灰化球のサイズを増大させていると考えて矛盾はない。そこで、分子メカニズムの方からのアプローチが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
EphA2欠損マウスにおける長管骨の解析:EphA2欠損マウスで骨強度が有意に上昇していることが明らかになったので、骨形態の変化とミネラリゼーションの亢進の両面から、その原因を追究する。
イオンチャネルの機能解析:ミネラリゼーション亢進の原因となっている可能性のある候補遺伝子が見出された。そのマウスのタンパク質を検出する抗体(現在、抗体の入手あるいは作製を目指している)を用いて、イオンチャネルがEphA2欠損マウス由来の骨芽細胞に高発現しているかどうかを確認した上で、骨芽細胞に強制発現してミネラリゼーション亢進を再現されるかどうかを検討する。
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