2015 Fiscal Year Research-status Report
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26670676
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Research Institution | National Hospital Organization Murayama Medical Center |
Principal Investigator |
三上 裕嗣 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (20306749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 泰昌 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (80160688)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歩行運動 / グリア細胞 / アストロサイト / 脊髄 / カルシウムイメージング / ニューロン / グリア伝達物質 / 摘出脊髄標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
歩行運動(locomotion)を掌る神経出力は、腰髄前角の歩行運動パターン形成神経回路(locomotor central pattern generator; locomotor CPG)のニューロンにより形成されると考えられてきた。近年、脳脊髄では、グリア細胞・アストロサイトは、グリア伝達物質を介して能動的にニューロン活動を支配していることが明らかにされてきたため、locomotor CPGにおいてもアストロサイトは、ニューロンと情報交換を行いつつ、locomotion神経出力形成に能動的に関与していると考えた。そこで、ラット摘出脳幹脊髄標本にグルタミン酸受容体刺激薬(NMDA)とセロトニンを投与してlocomotion神経出力を形成させ、標本尾側L5レベルでの脊髄横断面での細胞活動をカルシウムイメージング法で計測した。また標本の生存性を確認するとともに、呼吸とlocomotionの機能的連関を解析するため、延髄断面の呼吸性細胞活動の計測も行った。カルシウムイメージング法で記録された細胞を、まず、ニューロンとアストロサイトとに分類する必要があり、平成26~27年度は、様々な方法を試した。ニューロンは、ナトリウムチャネル阻害薬TTXにより抑制され、また、低カリウム状態に置くと過分極によりさらに抑制されるが、アストロサイトは、TTX存在下でもカリウム低下によりアストロサイトに特異的に発現しているカリウムチャネルKir4.1を介して細胞外陽イオンが非特異的に細胞内へ流入するため活動が増強する特性を利用し、記録したlocomotor CPG細胞をニューロンとアストロサイトとに分類する方法を確立しえた。その結果、locomotionのリズムに同期した活動を呈するニューロンのみでなく、同期してリズミックな活動を示すアストロサイトの存在を世界で初めて発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要欄に記載したように、摘出脊髄標本にNMDAとセロトニンを投与することにより、locomotion神経出力を形成させ、標本断面での細胞活動をカルシウムイメージング法で計測する方法は確立しえたが、カルシウムイメージング法で記録された細胞をニューロンとアストロサイトとに分類する方法の確立に時間を要した。しかし、試行錯誤の結果、通常の計測後にTTX存在下で灌流液のカリウム濃度を下げ、それに対する細胞応答を解析することにより、locomotor CPG細胞をニューロンとアストロサイトとに分類する方法を確立しえた。その分類法を用いて、現在、locomotion神経出力の形成にアストロサイトがどのように関わっているかを解析中で、あと1年間の時間が必要となり、期限を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
locomotion神経出力の形成にアストロサイトがどのように関わっているかを明らかにするため、引き続きカルシウムイメージング法により、腰髄L2レベル、およびL5レベルでのニューロンとアストロサイトの活動を計測する実験を行う。特に、アストロサイト機能を特異的に抑制する薬剤(arundic acidなど)を投与した際のlocomotion神経出力と、ニューロンとアストロサイトの活動への影響を同時に解析する。さらに呼吸とlocomotionの機能的連関を解析するため、延髄断面の呼吸性細胞活動とlocomotion神経出力の同時記録、腰髄断面のlocomotion細胞活動と呼吸神経出力の同時記録も行う。これらの結果より、locomotion神経出力形成の細胞機構、および呼吸とlocomotionの機能的連関機構を解明する計画である。
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Causes of Carryover |
研究成果をまとめるためには、さらにもう1年間、実験を継続して行う必要があり、研究期間を1年間延長した。平成28年度の実験のため、平成27年度は、旅費等の支出を抑えたので、585,479円の次年度使用額を確保することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度もカルシウムイメージング実験を行うための試薬代、研究補助員の人件費、成果発表のための旅費として使用予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] A novel model of respiratory rhythm generation: a mechanism by interaction of intrinsically oscillating astrocytes and neurons2015
Author(s)
Okada Y, Oku Y, Sasaki T, Vivar C, Yokota S, Takeda K, Fukushi I, Yazawa I, Someya H, Tamura Y
Organizer
Neuroscience 2015, 45th Society for Neuroscience Annual Meeting
Place of Presentation
Chicago, USA
Year and Date
2015-10-17 – 2015-10-21
Int'l Joint Research
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