2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670696
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 尿路上皮癌 / 遺伝子 / 変異 / FGFR3 / TACC3 / 融合 / 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
多施設共同前向き観察研究として表在性膀胱癌、浸潤性膀胱癌、転移性尿路上皮癌各50例ずつ、計150例の登録を目標としていた。2015年4月中旬時点において128例の登録が完了し、表在性膀胱癌に関しては目標の50例に到達している。癌関連50遺伝子の変異およびFGFR3-TACC3融合に関しては現時点で97例の解析が完了している。FGFR3-TACC3融合はRNA-ISHにより4例で検出された。FGFR3遺伝子の変異は表在性の43%、浸潤性の31%で検出され、既存の報告における浸潤性での頻度(13-15%)と比較すると多い。p53の変異は表在性の13%、浸潤性の48%で検出され、これまでの報告と概ね一致する結果が得られた。PIK3CAの変異は表在性の21%、浸潤性の28%で検出された。またIon AmpliSeq Cancer Hotspot Panel v2でターゲットとしているHotspotでの変異情報のみならず、アミノ酸変異を伴うSNPも検出されている。特にp53のP72R変異は75%、 KDR(VEGFR2)のQ472H変異は74%の症例が保有しており、いずれも既知のSNPデータベース上の日本人における保有率と異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各施設での倫理委員会での承認に際して日数を要し、実際の登録が開始されたのは筑波大学で4月下旬、全施設で1例目の登録がなされたのは11月上旬となった。また採取した組織の癌部割合が基準に達しない症例や、FFPEからのDNA抽出時の濃度が十分で無かった症例など、8例の脱落があった。浸潤性膀胱癌、転移尿路上皮癌の症例のエントリーが完了しておらず、登録期間を延長し継続している。FGFR3-TACC3融合変異と50癌関連遺伝子変異を認めない症例は現時点では認められず、全ゲノムシークエンスによる新規癌関連遺伝子候補の同定に関してはまだ着手していない。
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Strategy for Future Research Activity |
症例の登録を引き続き継続する。並行して病期や悪性度、年齢、喫煙歴、性別などを含む詳細な臨床情報を統合し、遺伝子変異情報との詳細な相関の検討を行い、瘍関連遺伝子変異ネットワークを統計学的に解析同定する。さらに下流シグナル分子の発現解析を凍結組織・FFPEを用いて行う。発現解析方法としては、免疫染色、qRT-PCR、western-blot法を用い、変異と発現との相関性のある分子または変異と発現完進が排他的に生じている分子に特に着目する。選別した候補分子・ネットワークに対して、その機能解析を既に構築してきた尿路上皮癌細胞株を用いたin-vitro浸潤能・増殖能、sphere formation-assay、apoptosis・autophagyの亢進の有無との相関を解析する。細胞株への遺伝子導入またはshRNA/siRNAによる強制発現・発現抑制系を利用する。 さらに研究開始後3年間に渡って下記の項目に関し予後調査(転移・再発の有無、生存の有無、再発時の治療内容)を行い、今回の研究から得られた癌遺伝子変異情報との相関の検討を継続して行う。
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