2015 Fiscal Year Annual Research Report
石灰化をともなう生活習慣病の病態解明と診断・治療法への応用
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26670702
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
公文 裕巳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特命教授 (30144760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 栄次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20181688)
荒木 元朗 岡山大学, 大学病院, 講師 (90467746)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 石灰化小球 / 酸化脂質 / 質量分析 / イメージング質量分析 / 異所性石灰化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、異所性石灰化を伴う生活習慣病の病態形成における酸化脂質の役割解明と新規治療法の創出を目指している。病態を構築する共通基盤を詳細に解明するため、石灰化小球(NLP)より抽出した脂質の分離と質量分析(MS)解析を行い、異所性石灰化に関わる酸性脂質を同定した。 NLPをγ線照射/非照射牛胎児血清(FCS)を添加したDMEM培地中で増殖させた。抽出脂質画分をMS 解析により構造を特定した酸性脂質と合成アパタイトを用いて、人工的NLP の合成と自己増殖の再現を試みた。石灰化小球を、非照射FCSを添加したDMEM培地に懸濁し、酸化脂質を含むリポソーム、および対照として酸化脂質を含まないリポソームを添加して同様にインキュベートを行ったところ、いずれも650nmの吸光度が経時的に上昇したが、酸化脂質リポソームを添加した場合の増殖がより速いことが分かった。HPLCあるいは、TLCによる分離解析を行い、得られた分画を用いて、MALDI-TOF-MSおよびMS/MSを行った。コレステロール及び7-ケトコレステロールのエステルが検出された。さらに、酸化脂質を含むリポソームとの共培養により成長したNLPの微細構造を電子顕微鏡により観察した。これらのことから酸化脂質の増殖への関与が示唆された。 また、患者由来の石灰化病片(腎乳頭、腎動脈)を用いて、免疫組織染色とイメージングMS 解析を行った。腎がん、尿管がん、膀胱がんおよび腎盂がん患者の腎乳頭および腎動脈の組織切片を作り、組織染色、石灰化特異抗体による免疫染色、およびMALDI-TOF-MSによるイメージング質量解析を行い、腎臓の病巣における脂質群の分布を視覚化したが、石灰化の病変が観察されなかったため、石灰化好発モデルマウスを用いて検討した。
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