2015 Fiscal Year Annual Research Report
細菌、ウイルス感染による細胞極性の破綻と前立腺癌発生、進展機構の解明
Project/Area Number |
26670709
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
石黒 斉 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 重点研究室光触媒グループ, 研究員 (00381666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 博司 横浜市立大学, 大学病院, 准教授 (50244439)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌やウイルスの感染が癌の発生や進展に関与することが知られている。一方で、前立腺癌の発生や進展と細菌やウイルスの感染の関係については不明である。そこで、本研究では、前立腺癌の発生や進展に関与する細菌やウイルスの同定を試みた。また、感染による細胞極性の破綻と前立腺癌の発生や進展の関係について、明らかとすることを目的とした検討を行った。研究使用の同意を得た前立腺組織よりRNAやDNAを抽出し、PCRやマイクロアレイを用いて、細菌やウイルスの同定を行った。その結果、前立腺癌組織や正常前立腺組織に特異的に感染することを示す細菌やウイルスは認められなかった。しかしながら、Epstein-Barr virus(EBV)は前立腺癌組織や正常前立腺組織で多くの感染を認めた。EBVはバーキットリンパ腫や胃癌との関係が明らかとなっていることから、前立腺癌の発生や進展にも何らかの関与がある可能性が示唆された。また、感染による慢性炎症やそれに伴う炎症性サイトカインの産生は前立腺癌の発生や進展に重要と考えられていることから、前立腺細胞以外に感染した場合を想定したパラクライン作用による前立腺癌の発生や進展の可能性についても検討を行った。その結果、脂肪細胞由来のMCP-1が前立腺癌の増殖や浸潤に関与していることを見出した。その他、細胞極性の維持や炎症性サイトカインの産生に重要な分子であるatypical protein kinase Cと前立腺癌の発生について、正常前立腺細胞を用いた検討を行い、aPKCが正常細胞で高発現や機能低下などの異常が起きることで、細胞極性が破綻することを見出した。さらに、aPKCが高発現することで、正常前立腺細胞が癌細胞へと変化する可能性を見出した。
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Research Products
(3 results)