2015 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲卵巣機能診断を実現する光干渉断層撮影システムの開発
Project/Area Number |
26670712
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
阿部 宏之 山形大学, 理工学研究科, 教授 (10375199)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 裕輝 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (00333328)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 卵母細胞 / 光干渉断層撮影 / 発生 / 加齢 / 生殖医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
低コヒーレンス光干渉を利用した光干渉断層画像化法(オプティカル・コヒーレント・トモグラフィ:OCT)は、弱い近赤外光を生体に照射し、生体試料内部からの後方散乱光を高度に検出することで生体試料の断層画像を可能とする技術である。本研究では、OCTを基盤とするドップラーOCT技術によりマウス卵巣内の卵胞を非侵襲的に画像撮影し、卵胞サイズと位置情報をイメージングできる高感度OCTシステムの開発を目的とした。平成27年度は、ドップラーOCTによる3次元断層画像化計測技術の開発と生物学的解析によるドップラーOCTの有用性の評価を行った。OCT技術では、測定対象への光照射サイズは10um程度とかなり小さいため、2次元の断層画像だけでは詳細な測定位置や卵胞のサイズを正しく判別するのは困難である。そこで本研究では、昨年度明らかになった卵母細胞の細胞質に観察される散乱光のドップラー効果を位相差計測することで卵胞の3次元断層画像計測を試みた。従来よりも高速画像処理可能なラインカメラを導入した結果、2秒以内で3次元断層画像構築のためのデータ取得が可能となり、マウス卵巣内に多数の光散乱像がイメージングすることができた。この方法を用いて生後5~12週齢マウスの卵巣を画像化した後、同一の卵巣を組織学的に観察した。その結果、発生初期の一次卵胞及び二次卵胞、大きく成長した胞状卵胞において卵母細胞内に光散乱像が観察された。以上の結果から、ドップラーOCT技術は、卵巣内での卵胞の定量化及び立体的局在の解析に有効であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドップラーOCT技術を用いることで、マウス卵巣内に存在する種々の発生ステージの卵胞のイメージングに成功した。本研究は、当初の計画通り順調に進んでいると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
ドップラーOCT技術により卵巣内に存在する卵胞の定量化を行い、組織学的解析により有用性を検証する。卵母細胞の検出マーカーとなっている高輝度シグナルの実体を明らかにするために、若齢マウス及び加齢マウスの卵巣や新鮮卵巣及び固定卵巣における高輝度シグナルの変化を比較検討し、卵母細胞の生物活性と高輝度シグナルの関係を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
新規に導入した計測装置の設置とデータ収集及び実験動物の準備に想定以上の時間を要したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
加齢マウスの繁殖及び維持及びデータ収集に関連する経費に使用する。
|