2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)における脳転移関連分子の同定
Project/Area Number |
26670716
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関根 正幸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70345502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90283754)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 脳転移 / 遺伝性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌脳転移症例でBRCA異常の頻度が高いという疫学的事実から「脳転移の何らかのstepにBRCA遺伝子異常が関与している」と考え本研究を計画し、脳転移へのBRCA1、2遺伝子異常の関わりを解明することで遺伝性乳癌卵巣癌患者の予後を改善し、脳転移メカニズムの解明を通じて、遺伝性腫瘍のみならず腫瘍全般における基礎医学、臨床医学の発展に寄与することを目的に研究を開始した。 本年度は、当科で集積した遺伝性乳癌卵巣癌家系のうち12家系で家系調査を実施し、新たな卵巣癌患者発症の有無と、その予後、脳転移の有無を解析した。家系調査では、1名の卵巣癌発症を確認したが、既知の卵巣癌症例の予後解析も含めて、新たな脳転移症例を認めなかった。そこで、当科で治療した過去8年の卵巣癌症例の予後調査を行い、卵巣癌の脳転移症例を5例確認した。漿液性腺癌が2例、類内膜腺癌が2例、明細胞腺癌が1例であり、家族歴を有する症例は認めなかった。卵巣癌の脳転移症例は脳転移後の予後が比較的長期(6か月以上)の症例が多いことが明らかとなった。 来年度は、残りの家系での家系調査と予後調査を行い、新規の卵巣癌発症者と脳転移症例の発掘を行う。収集した検体を使用し、Realtime PCR、免疫染色、ダイレクトシーケンスによる発現解析および変異解析を、BRCA変異陽性およびBRCA変異陰性検体を対象に行い、その比較から脳転移関連遺伝子を同定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、これまでに集積した遺伝性乳癌卵巣癌家系の家系調査により、新たな脳転移症例の発掘を目指したが、BRCA変異家系での脳転移症例を認めなかった。新たなサンプルの収集が困難であったため、「やや遅れている」と評価した。すでに集積しているサンプルにて分子生物学的解析を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新規の卵巣癌発症者から脳転移症例の発掘と本研究仮定の検証は困難な状況であったため、現時点で保有しているBRCA変異を有する卵巣癌検体とBRCA変異を有さない卵巣癌検体での比較により、脳転移関連遺伝子を限定する方針である。
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Causes of Carryover |
本年度は家系解析を主として行い、分子生物学的解析を行わなかったため、実験に必要な消耗品費の支出が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、ゲノム解析、発現解析など分子生物学的解析を予定しており、バイオインフォマティクスにかかる費用など、出費が予想される。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 遺伝性卵巣がんの臨床2014
Author(s)
関根正幸、榎本隆之、田中憲一
Organizer
日本婦人科腫瘍学会学術集会
Place of Presentation
宇都宮市
Year and Date
2014-07-17 – 2014-07-19
Invited
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