2014 Fiscal Year Research-status Report
生殖補助医療が胎盤の構造・機能の変化を介して分娩時出血量に及ぼす影響の解析
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26670719
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 千津子 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (20397425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (70263085)
古田 直美 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (80647595)
田村 直顕 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (90402370)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胎盤病理 / 胎盤基底膜板 / 脱落膜欠損 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖補助医療(ART)の発達により女性の妊娠・出産年齢が高齢化する一方、異常分娩率の上昇・分娩時出血量の増加という問題が報告されている。ARTによる妊娠では、同年代の自然妊娠例と比し、その分娩時に多量出血を来す例が多く、その原因に胎盤と子宮の接着面である基底盤とりわけ脱落膜に形態的変化が生じている可能性を検討している。胎盤の構成成分の一つである脱落膜は母体由来の子宮内膜から妊娠初期に変化するが、ART治療による胎盤絨毛組織及び胎盤基底膜板の変化を観察・解析している。 平成26年度は浜松医科大学付属病院周産母子センターにて、ART妊娠症例および比較対象として自然妊娠症例において、流産産物の脱落膜組織、分娩した際に得られた胎盤組織、帝王切開分娩時に子宮側の胎盤付着部の脱落膜組織の収集を予定通りに行っている。 ART治療としてホルモン補充のみで着床環境を作り出す人工周期による融解胚移植妊娠は自然妊娠より有意に分娩時出血量が多く、組織学的にも胎盤基底膜板の有意な変化を認めている。ART治療の分娩例は治療方法毎に分類し、浜松医科大学周産母子センターの総合データベースより臨床的因子と出血量の解析を行っている。流産産物の脱落膜組織、分娩後の胎盤及び帝王切開時に胎盤床組織を採取し光学顕微鏡を用いて脱落膜及び基底膜板の組織学的形態変化の解析を行っている。 ART治療後妊娠において脱落膜の欠損及び菲薄化と基底膜板上のフィブリノイド沈着の肥厚が認められた。サンプリングされた組織はHE染色及びAZAN染色を行い、基底膜板部をランダムに20視野デジ膜板部をランダムに20視野デジタル撮影を行い、この画像情報より胎盤の子宮筋癒着の有無、脱落膜層及びフィブリン層の計測・解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浜松医科大学周産母子センター分娩例はART治療内容別に自然妊娠群・新鮮胚移植群・自然周期凍結胚移植群・ホルモン補充後凍結胚移植群の4群毎に分類し、分娩後の胎盤及び帝王切開時に胎盤床組織を採取し特殊染色及び免疫染色による光学顕微鏡を用いての脱落膜及び基底膜板の組織学的形態変化の解析を行うと共に病理組織学的異常を解析を行っている。当センターで採用している総合データベースより臨床的因子と出血量との関連を解析し、各ART治療が与える影響について関連を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
組織サンプリング及び形態変化の解析は前年度に引き続き継続する。 ART治療後妊娠の胎盤脱落膜に特異的なタンパクの同定。 前年度から継続して収集するART妊娠ならびに対照群としての自然妊娠群の胎盤奇胎盤の脱落膜組織ならびに子宮側の胎盤付着部、したART症例の脱落膜組織から特異的タンパク質の同定を行う。脱落膜組織からタンパク質を抽出後、二次元電気泳動法を用いてタンパク質を分離し、質量分析による解析を行う。ART妊娠に特異的に変化している蛋白質、とりわけ細胞外マトリックスの構成に重要な役割を果たすタンパク質群の同定を目指す。同定したタンパク質の特異的変化が、流産産物の脱落膜組織において既に発現に差を認めるか否かの解析を目指す。
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Causes of Carryover |
検討中の胎盤病理検査に関して、免疫染色用物品の購入が遅れたため次年度の請求になっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も胎盤組織の病理組織学的検討を引き続き行う予定のため必要物品を次年度予算として購入し、継続して使用する。
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Research Products
(6 results)