2015 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疾患”子宮びまん制平滑筋腫症”に対する新規治療法の開発
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26670721
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 郁生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90192062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 長 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60508240)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子宮筋腫 / 子宮肉腫 / DNA解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮びまん性平滑筋腫症(uterine diffuse leiomyomatosis, UDL)は非常に稀な疾患であり、その遺伝学的発生原因はいまだ明らかではない。近年のゲノムワイド解析が子宮筋腫発生を司る責任遺伝子の解明を進めたように、本研究でも自験例のパラフィン包埋切片(FFPEサンプル)を用いて遺伝学解析を行い、腫瘍発生メカニズムと新規治療開発ないし予防措置の探索を行うことを目的とした。 貴重なUDLサンプルを消費せぬよう平成26年度に引き続き検体数および量の多い卵巣癌のFFPEサンプルを用いて解析を行った。DNAは比較的安定した遺伝子産物であるが、卵巣癌からも3割の症例でしか解析に足るDNAが回収できず、限定的な解析となったが、回収した卵巣明細胞癌のDNA解析を進め、16番染色体の増幅が独立予後不良因子であることを見出し、現在論文投稿準備中である。増幅領域に含まれていた抗癌剤耐性関連分子についてさらに明細胞癌の機能実験を進めている。一方、本研究期間にはUDLの自験例から解析に足るDNAが回収できなかった。その原因としてホルマリン固定時間が長かったこと、UDLはその病態ゆえに一つ一つの筋腫核が非常に小さく細胞密度も高くないため筋腫核から得られるDNA量が極めて少なかったことが挙げられる。この結果を活かして今後は症例を適切に蓄積しDNA解析につなげていく予定である。 他方、子宮軟部腫瘍としてUDLの対極にある子宮肉腫のバイオマーカー探索および機能解析をさらに進め、複数の論文発表につなげた。疾患モデルマウスの作成にも成功し、今後、URLの責任遺伝子が明らかにしURLのモデルマウス作成につなげたいと考えている。さらに、日常臨床診療からUDLや子宮肉腫、子宮体癌の発生・病態解明を紐解く鍵として放射線科と共同でMRI画像の解析を進めて論文化し、今後の研究発展の礎とした。
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