2014 Fiscal Year Research-status Report
新規蛍光プローブの化学的ナビゲーションを応用した子宮頸癌円錐切除範囲の決定
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26670727
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岩井 加奈 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60588531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 清二 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (10423914) [Withdrawn]
棚瀬 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20423915)
古川 直人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50347556)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / GTT / 円錐切除術 / 前癌病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年子宮頸癌は増加傾向にあり、前癌病変である異形成病変や上皮内癌患者数も増加している。前癌病変の段階で確実に診断しかつ根治切除するためには、低侵襲で正確に病変を検出する検査法が必要であるが、前癌病変を正確に可視化する検査ツールはいまだ開発されていない。近年、がん細胞に取り込まれると発色する蛍光プローブ分子が開発された。蛍光発色検出法が確立すれば、頸部摘出手術中に用いることで、リアルタイムに正確に病変範囲を確認でき、術中蛍光診断により遺残なく的確に切除範囲を決定できることが期待される。本研究では子宮頸癌の前癌病変に特徴的な酵素活性を同定し、蛍光プローブ分子を用いて頸部前癌病変の可視化を実証し、将来の頸癌前癌病変の術中蛍光診断(化学的ナビゲーションシステム)の臨床応用を目指している。gamma- glutamyltransferase(以下GGT)は グルタチオンなどのγ-グルタミルペプチドを加水分解し、他のペプチドやアミノ酸にγ-グルタミル基を転移する酵素で、生体に広く分布する酵素であるが、がん細胞の細胞膜に過剰発現しており、肝臓癌や甲腺癌の発癌過程で、前癌細胞においてその酵素活性が亢進していることが報告されている。子宮頸癌では、患者血清中のGGT蛋白濃度が前癌病変と比較し浸潤癌では有意に高いことが報告されており、子宮頸癌においても発現または酵素活性が亢進している可能性がある。本年度は前癌病変や微小浸潤頸癌病変においてGGTが特異的に発現また活性亢進していることを臨床検体によって確認することを研究目標とした。免疫組織染色にて子宮頸癌にはGGTは発現が亢進している。しかし、前癌病変や微少浸潤頸癌病変での発現に現時点では有意差を認めなかった。これは免疫組織染色の抗原抗体反応に対する至適濃度・時間の再検討が必要であると考えている。今後、さらに症例数を増やし研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、子宮頸癌の前癌病変に特徴的な酵素活性を同定し、蛍光プローブ分子を用いて頸部前癌病変の可視化を実証し、将来の頸癌前癌病変の術中蛍光診断の臨床応用へつなげることである。その前癌病変に特徴的な酵素活性の候補のひとつとして、gamma- glutamyltransferase(以下GGT)を想定した。この酵素は生体に広く分布する酵素であるが、がん細胞の細胞膜に過剰発現しており、肝臓癌や甲腺癌の発癌過程で、前癌細胞においてその酵素活性が亢進していることが報告されている。子宮頸癌では、患者血清中のGGT蛋白濃度が前癌病変と比較し浸潤癌では有意に高いことが報告されており、子宮頸癌前癌病変においても活性が亢進していると考えられた。現在、免疫組織染色でGGTの活性を調べているが、免疫組織染色にて子宮頸癌にGGTは発現が亢進していた。しかし、前癌病変や微少浸潤頸癌病変での発現に現時点では有意差を認めなかった。これは実験手技に起因する可能性を考えている。免疫組織染色には至適な濃度・時間の設定が必須であるが、これまで子宮頸癌前癌病変の染色に対する報告がほとんどないためその設定に難渋している。今後、さらに症例数を増やし、特異的な発現亢進を明らかにして蛍光プローブへの研究につなげたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光プローブを頸部上皮に局所投与を行い、酵素活性によりプローブを発色させ、蛍光内視鏡でリアルタイムでの可視化を実証するためには、子宮頸癌の前癌病変に特徴的な酵素活性を同定する必要がある。特徴的な酵素活性の候補のひとつとして、gamma- glutamyltransferase(以下GGT)を想定している。まず、免疫組織学的に子宮頸癌前癌病変におけるGGTの発現亢進を明らかにする必要がある。さらに症例を重ねてanti-GGT antibodyの至適濃度をまず設定する。3µg/mlより高く設定する必要があると考えている。その後、円錐切除直後の切除標本を使用し、蛍光ペプチターゼプローブの散布濃度・発色開始時間・蛍光持続時間のデータ収集を行う
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Causes of Carryover |
子宮頸癌組織、子宮頚部異形成組織に対するGTTの免疫染色を行っている。現在、至適な濃度や反応時間の設定を行っている。そのため次年度使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫組織染色に対する条件設定が確立されれば、その後、さらに免疫蛍光プローブを使用して病変部位の同定が可能か検討する
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