2015 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア機能障害による難聴の新規治療法の開発
Project/Area Number |
26670737
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60251302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 敏明 東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録員 (50227790)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 難聴 / ミトコンドリア / 水素 / タウリン / コエンザイムQ10 / ゲルマニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
CBAマウスに二酸化ゲルマニウムを投与し、進行性難聴を作成した結果、内耳では血管条の変性、有毛細胞の軽度脱落、ラセン神経節細胞の減少などの組織変化が見られた。蝸牛からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイで調べたところ、apotosisやinflammationなどに関する遺伝子発現が増え、エネルギー代謝、聴覚、神経伝達、DNA修復などに関する遺伝子の発現が低下していた。定量的RT-PCRでミトコンドリア呼吸鎖複合体の代表的遺伝子5個の発現を確認したところ、すべて有意な発現低下が見られた。この二酸化ゲルマニウムによる内耳障害が、ミトコンドリア障害を保護するサプリメント(タウリン、水素水、CoQ10)により予防できるか検討したところ、タウリン、CoQ10、水素水の順に聴力低下が有意に抑えられた。組織学的変化でもラセン神経節の減少や血管条の変性がこの順に抑えられた。さらにこのサプリメントを投与した動物の蝸牛からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイでサプリメントを投与していない動物と比較したところ、上述した遺伝子発現変化が抑制されており、予防効果と相関が見られた。臨床では、ミトコンドリア遺伝子3243位点変異を持つ難聴患者に対してCoQ10、タウリン、水素水を投与し、聴力経過を観察した。この1年間には大多数の症例で難聴の進行はほとんど見られなかったが、1例だけ急性増悪を示した。しかし投与期間での急性増悪は投与前に比して有意に抑えられる結果であった。なお平衡障害は極めて緩徐ではあるが、進行する傾向にあった。
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