2015 Fiscal Year Research-status Report
乳酸菌を用いた頭頸部進行・再発癌に対する新たな分子治療の開発と臨床応用
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26670747
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
片桐 克則 岩手医科大学, 医学部, 助教 (10455842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 清人 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10187338)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | lactobacillus casei / 頭頸部扁平上皮癌 / 乳酸菌抗腫瘍効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部扁平上皮癌の細胞株HSC2とSASをそれぞれヌードマウスBALB/cSlc-nu/nuに接種し腫瘍を形成する。この腫瘍に、偏性嫌気化させた乳酸菌lactobacillus casei KJ686株と、さらにヒト型IL-2発現分泌株に形質転換したKJ474株を局所投与して腫瘍の抑制効果を検討した。コントロール群に比べそれぞれの乳酸菌投与群で腫瘍抑制効果を認めた。これらのマウスの血液から各種サイトカインを計測したところ、コントロール群に比べてTNF-α、INF-γ、IL-12が著名に増加、IL5、IL-10の増加、IL-2の発現が見られた。このことからこれらの乳酸菌による抗腫瘍効果は腫瘍免疫の賦活化によるものと考えた。また、乳酸菌を投与したマウスから取り出した標本の病理学的検討で、腫瘍組織内には乳酸菌が認められたが、肝臓、腎臓、肺には乳酸菌は認められなかった。これは偏性嫌気化した乳酸菌であるため、正常組織と比べて嫌気環境にある腫瘍組織内にとどまり正常組織には影響しにくいという、抗腫瘍剤としての臨床応用にも有利な条件と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳酸菌の死菌投与や乳酸菌の蛋白分画投与による検討も予定していたが、死菌作成、分画作成が困難で順調に進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
乳酸菌の死菌作成、分画作成しこれらを投与すること、また乳酸菌の経口投与、頸静脈投与などにより、同様の検討を行い、抗腫瘍効果の作用機序をさらに検討する。
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Causes of Carryover |
実験助手を使わずに研究をおこなったため、人件費、謝金を要さなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の試薬などの物品費に回す予定である。
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