2014 Fiscal Year Research-status Report
創部炎症連鎖に対するC型レクチン受容体を介したDAMPsの影響
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26670769
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
薄葉 千絵 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (80509232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 恵美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10431595)
館 正弘 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50312004)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 創傷治癒学 / ダメージ関連分子パターン(DAMPs) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、創傷治癒過程の炎症反応に対し、C型レクチンレセプター(CLRs)を介して、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)の複合的な影響について、マウス動物実験モデルを用いて検証し明らかにすることを目的とする。CLRsは細菌由来のPAMPs、壊死組織・死細胞由来のDAMPsの認識に関与する受容体であり、主としてマクロファージに発現している。CLRsには、Dectin-1、Dectin-2、Mincleなどが存在する。今回はCLRsの下流に存在するアダプター分子であるCaspase recruitment-domein-containing protein 9 (CARD9)遺伝子欠損(KO)マウスを用いて、C型レクチン受容体からのシグナルと創傷治癒との関連を明らかにすることを目的とした。 野生型マウスとCARD9KOマウスの背側皮膚組織に皮膚生検パンチで開放創を作成し、経日的に観察した。その結果、Dectin-1、Dectin-2、MincleのmRNAは創作成後12hと早期に発現のピークを認めた。また、野生型マウスと比較し、CARD9KOマウスでは、創傷作成後5日目の創閉鎖率が有意に低下する結果を得た。これに先立ち、KOマウスにおけるマクロファージ集積数の低下、TNF-αmRNAの発現低下を認めた。以上の結果より、CLRsはマクロファージ、TNF-αを介して創傷治癒過程の促進に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はC型レクチンレセプター(CLRs)のシグナル伝達に関与するアダプター分子であるCaspase recruitment-domein-containing protein 9 (CARD9)遺伝子を欠損(KO)したマウスを用いて、C型レクチン受容体からのシグナルと創傷治癒との関連について解析を行った。 その結果、CARD9KOマウスでは、創傷治癒、マクロファージ集積、TNF-α産生が低下するとの結果を得た。これは、CLRsを介してPAMPsやDAMPsによる炎症反応が創傷治癒にプラスに作用する可能性を秘めた結果である。今後、CLRsを欠損したマウスを用いた解析を行い、さらに詳細な結果を得る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果が実際の慢性創傷を反映しているか否かを検討するため、今後はCLRs欠損マウスに加え、感染モデルや免疫低下モデルを用いた解析が必要であると考える。 また、臨床検体を用いて、実際の創部壊死組織に含まれるDAMPsやPAMPsに関する解析も予定している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
創部壊死組織に含まれるDAMPsやPAMPsに関する解析をするための経費として、平成27年度請求額あわせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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