2014 Fiscal Year Research-status Report
チタン製骨接合材料の不動態皮膜(TiO2)における電磁波による生体内光触媒作用
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26670770
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 兼重 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50138442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三川 信之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40595196)
窪田 吉孝 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (10375735)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光触媒 / チタン / 生体反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
長期経過でのチタンプレートの生体親和性をかくにんするため、12週ヘアレスマウスを用いた実験系をくみ、皮下にチタンプレートおよびコントロールとして吸収性プレート群を移植した2グループを作成した(n=3)。約4か月後に解体し研磨切片を作成して移植物周囲を観察したところ、チタン挿入群ではプレートと皮下組織は強固に密着しており、被膜も薄く成熟し繊維製瘢痕となっていた。局所の炎症はどのマウスにも認めなかった。一方で吸収性プレート群ではプレートと皮下組織の密着がぜい弱で2/3のマウスで皮下組織とプレートとの剥離を認めた。また被膜も厚かった。しかしながらどちらの群でも明らかな炎症細胞の浸潤、壊死組織は認めなかった。また紫外線照射による光触媒作用の評価法として、12週ヘアレスマウスの皮下にチタンプレート挿入さらに移植後1週間後より同部位に黄色ブドウ球菌を播種し、自然光システムを用いたUVBを照射群と未照射群を設けて4日間の経過をみた。(感染モデル動物の作製:感染菌液の調製:卵黄加マンニット食塩培地で継代株を一夜培養し,菌をかき取って滅菌生食に浮遊した。 分光光度計でOD660:1.6に調整したものを原液とし,滅菌生食で希釈して至適菌液を作製した。播種には希釈倍率を記載し、個体あたり50μlでチタン埋入後1週間から播種を行う。実験当初は播種濃度希釈x40とx400を使用。UVB照射は12時間/日連続照射とした)4日後の経過では未照射群のx40播種では3/3の個体で同部位に潰瘍形成を認めた。x400未照射群では潰瘍形成は見られなかったものの移植部位の腫脹発赤症状を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroの実験系でUVB発生光源を用いた培養系の確立に技術的に困難な部分があり、これの開発に時間がかかっている。困難な理由としては、in vitroの対象細胞(骨芽細胞、脂肪由来幹細胞、など)が光照射自体により成長分裂が障害される事象が確認された。したがって触媒作用のみが影響する培養環境の確立を再構築する準備が必要となった。またハロゲン光源による照射にも若干の紫外線が含有されるためこれによる光触媒作用は回避できないと判断した。平行してin vivoの実験では光誘起性親水作用の測定により水接触角の測定を試みたが、生体内での測定が不可能であったため、もう一つの2大作用の一つである光触媒酸化還元作用による抗菌作用の影響を先行して行った。マウス皮下(頭蓋骨欠損モデルへのチタン埋め込みが技術的に難しいため、皮下で代用)にチタンを埋め込み、ブドウ球菌などの病原菌を播種し抗菌作用を確認しておりこちらはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの培養系の構築に関しては本年度の予算をもって新たに作成に取り掛かれるものと考える。また骨再生に関する組織学的評価、遺伝子・タンパク質評価に関してはよりサイズの大きな実験動物の使用によって安定したチタン挿入モデルを作れるものと考える。組織学的評価に関してはすでに過去に樹立した研磨切片法があり、これをもって遂行でkる。遺伝子・タンパク質評価に関してはin vitroの系でに骨評価マーカー(COL1 Runks ALPなど)の動きを計測する。さらに電離放射線照射の群では、放射線の連続照射は技術的に困難で単回の照射あるいは複数回におよぶ断続的照射を余儀なくされた。ほかの群と違い照射による細胞のDNAダメージが顕著であり特に幹細胞では壊死が多く成長分化の工程を追えなかった。この点に関しても比較対象にする意義を再検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、まず、研究図書の購入が予定より若干少なかったことがあげられる。また物品購入が予算よりも安価で入手できたため若干の未使用額が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、研究図書の購入を増やすこと、作成中論文の文献翻訳のための費用としてあてることなどを計画している。
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