2015 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞ニッチに着目した軟骨膜片移植による長期形態維持性耳介軟骨再生法の開発
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26670780
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小室 明人 金沢大学, 大学病院, 講師 (80387365)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生医療 / 軟骨膜 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
耳介軟骨再生医療における重要課題である長期形態維持性の確保を目標に、耳介軟骨膜の組織幹細胞、幹細胞ニッチに関連する分子機構の解明のため、家兎耳介を用いた研究を計画した。本研究に先立ち、家兎肋軟骨膜での自らのin vivoの研究で、軟骨膜細胞の増殖前に、軟骨膜内に血管新生が生じることにが明らかになったため、肋軟骨膜モデルを用い、軟骨膜幹細胞の静止・活性化の動態制御機構のニッチ因子としての血管新生について研究した。 肋軟骨モデルのin vivoの実験系で抗VEGFヒト化モノクローナル抗体(アバスチン:25mg/ml)の浸透圧ポンプでの持続投与するにより血管新生を阻害し、軟骨新生との関連について調べた。結果は処置後4日の軟骨膜内の新生血管数は、アバスチン投与群ポンプ側7.9±0.59、対照群ポンプ側16.4±1.69でアバスチンにより軟骨膜内血管新生は有意に抑制された(p<0.01)。さらに処置後2週の新生軟骨厚のポンプ側/非ポンプ側比は、アバスチン投与群0.27±0.03 vs対照群1.00±0.03でアバスチン投与により軟骨新生も有意な抑制を認め((p<0.01)、軟骨膜血管新生と軟骨膜細胞の増殖・分化に相関を認めた。このことから軟骨膜内での血管新生が軟骨膜前駆細胞 / 組織幹からの軟骨膜細胞の増殖・分化に対するトリガーであることが示された。 この血管新生が血管性ニッチとして意義を有し、血流を介したなんらかの細胞動員やAng-1などの血管性ニッチ因子の分泌が生じていないか確認する必要があると思われた。また血管新生より生じた高酸素環境が軟骨膜細胞増殖・分化のトリガーになっている可能性が示され、軟骨膜前駆細胞 / 組織幹細胞の増殖制御における低酸素ニッチの存在が強く示唆されるため、基金助成金によって、酸素コントローラーを購入した。
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