2014 Fiscal Year Research-status Report
吸入インスリンのARDS治療への応用の可能性の検討
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26670783
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中沢 弘一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10207756)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ARDS / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は高血糖を合併した急性肺傷害においてインスリンの経気道吸入が静注よりも効率よく炎症反応を抑制することを示した(Crit Care 2013).しかしながら、インスリンの抗炎症作用が高血糖に対する血糖降下作用による作用なのかインスリンの直接的な抗炎症作用なのかが今一つ明らかにされていなかった。そこで血糖レベルの影響を受けずに純粋にインスリンの作用を明らかにするために、今年度はまず正常血糖下でのインスリンの効果を検討するためのモデルを確立した.次にウサギをコントロール群(C群)とインスリンエアロゾール吸入群(I群)に無作為割付し,肺洗浄による急性肺傷害モデルを作成した.今年度はI群では1 IU/kgのインスリンを,C群は同量の生食を3時間毎に吸入させることで、血糖値を80-180mg/dlの正常血糖に収めた。治療中は循環動態や血液ガス、血糖値をモニターし、6時間後に肺を摘出し,肺傷害作成前と実験終了時の肺胞洗浄液(BALF)中のIL-8,Toll様受容体4(TLR-4),組織中の ENaCα,SGK-1,TGF-β1,KGFなどを測定した(いずれもPCR法によるmRNA発現). 今回の正常血糖モデルでは,インスリンが炎症反応を有意に有意に抑制する傾向は示されなかったが,インスリン吸入によりENaCαの発現が増加する傾向を認めた。次年度はインスリン静注群(IV群)を加えてさらに例数を重ね、また組織学的な差異を検討したい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常血糖を維持しながらインスリンの経気道投与を行う目途はついた。インスリンの投与量は以前の高血糖モデルを用いた研究と比較するとかなり少なくせざるを得ないが、例数を重ねて分析していくところである。
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Strategy for Future Research Activity |
例数を増やしてデータを分析する。インスリンを吸入させる群と静注投与する群とで肺内の炎症反応が異なるか検討してみたい。このモデルでは炎症反応が弱いので、より炎症反応の強いエンドトキシン投与モデルなどを用いて将来的に検討する必要もあるかもしれない。
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Causes of Carryover |
検体の分析に使用する薬剤を次年度に回して使用したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度請求助成金と合わせて、薬品の購入に充てさせていただきたい。
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