2014 Fiscal Year Annual Research Report
致死的血栓症の病態解明:細胞外ヒストン-異常高分子VWFマルチマー仮説の検証
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26670789
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊藤 隆史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (20381171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任教授 (20082282)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞外ヒストン / 血管内皮細胞 / von Willebrand因子 / 血栓性微小血管障害症 / トロンボモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症時に生死を左右する因子として、細胞外ヒストンが注目を集めている。近年我々は、細胞外ヒストンが血管内皮細胞を傷害すること、播種性血管内凝固症候群(DIC)と似た病態を引き起こすことなどを報告してきたが(PLoS One. 2013;8(9):e75961)、一方で、細胞外ヒストンが引き起こす病態は、血管内での血小板血栓の形成が主体であり、フィブリン血栓を主体とする古典的DICとは異なる。今回我々は、「細胞外ヒストンは血管内皮細胞を傷害することによって、異常高分子von Willebrand因子(UL-VWF)の放出を誘導し、血栓性微小血管障害症(TMA)を引き起こす」という作業仮説を立て、この可能性を検証した。培養血管内皮細胞をヒストンで刺激すると、ヒストンの濃度依存性にVWFが放出された。また、ラットにヒストンを持続投与して血清ヒストン濃度を高めると、腎臓の糸球体において、血管内皮細胞上のVWFが減少し、血管内腔にVWFを含んだ血栓が形成された。また、VWFのマルチマー解析ではUL-VWFの増加を認めた。血清ヒストン濃度は高まっているが、臓器障害までは引き起こしていない段階で、遺伝子組換え型トロンボモジュリン製剤を投与すると、これらのラットの糸球体における血栓形成を抑制することができた これらの結果より、細胞外ヒストンは血管内皮細胞を傷害することによって、UL-VWFの放出を誘導し、TMA様の病態を引き起こしている可能性が示された。また、トロンボモジュリンは血栓形成を抑え、補体の活性化を抑える作用が報告されているが、遺伝子組換え型トロンボモジュリン製剤を補充することで、TMA様の病態を緩和できる可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)