2014 Fiscal Year Research-status Report
新しいペプチドーム解析法を用いた敗血症性ショック診断に有用なバイオマーカーの開発
Project/Area Number |
26670794
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸茂 幹雄 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40333950)
小谷 穣治 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80360270)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 敗血症 / ショック / ペプチドーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症敗血症の中でも循環不全を伴う敗血症性ショックの死亡率は40%を超え、早期の診断・治療介入が救命の鍵となる。本研究では敗血症性ショック時の循環動態変化を反映する体液性因子に焦点を当て、BLOTCHIPを用いた新しいペプチドーム技術を駆使した網羅的解析により、重症敗血症に合併する循環不全と関連する血中ペプチドを同定することを目的とする。そして早期診断のための分子マーカーを考案し、敗血症性ショック予知モデルを開発する。 本研究の初年度である今年度には、兵庫医科大学病院救命救急センターにおいて、敗血症5検体(男/女:5/0;APACHE II スコア:18.4±3.2)、重症敗血症1検体(男/女:1/0)敗血症性ショック9検体(男/女:7/2、34.3±6.2)、さらにコントロールとして非敗血症の内因性疾患9検体(男/女:3/6;APACHE II スコア:20.6±5.3)、外傷3検体(男/女:2/1)の採血を行った。ペプチドーム解析用に検体を保存する前に、侵襲反応関連パラメーターとして、好中球アポトーシス、血中IL-18濃度、IL-18-607および-137の遺伝子多型を測定し、健常人(21検体)のそれと比較した。好中球アポトーシスは、健常人:60%、患者群(27検体):15%と重症病態で抑制されていた。血中IL-18濃度は健常人よりも患者群で高かった。検体数が少ないため、いずれも性別、病態別の関連に有意差は認めていない。遺伝子多型は検出されたが、次年度に新しい機器が導入されたため再度検討する予定である。 今年度は、新規の敗血症患者からペプチドーム解析用の検体を採取する業務を行った。そして上記27人から血清を採取し凍結保存した。敗血症症例と対照症例を合わせて30人を目標に検体採取を継続し、次年度のできるだけ早期に検体の収集を完了し、それを用いたペプチドーム解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は敗血症患者から血清検体を採取し、それを用いてペプチドーム解析を実施する予定であった。しかし、来院患者数が予想より少なく、今年度中に予定していた検体数を収集することができなかった。ペプチドーム解析では、結果の定量性を得るには検体を同時に測定する必要があるため、現時点ではペプチドーム解析を実施していない。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点での対象者数は27名であり、予定していた対象者30名を次年度の早期に確保できると考えている。その後、収集した対象者の検体を用いて速やかにペプチドーム解析を行い、研究をすすめる予定である。具体的にはBLOTCHIPを用いたペプチドーム解析により、敗血症時の循環不全と有意に関連して変動するペプチドを同定する。そして複数のペプチドを用いて敗血症性ショックの早期予知のための診断法を確立する。
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Causes of Carryover |
本研究の予算の主な部分はペプチドーム解析に使用される。今年度は、ペプチドーム解析に用いる患者血清検体の収集が完了しなかった。ペプチドーム解析では、結果の定量性を保つために、検体を同時に測定する必要があり、今年度は上記理由によって予定していた対象者数からの検体の収集を完了できなかったため、ペプチドーム解析を実施しなかった。その結果、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の早期に、予定していた計30人の対象者からの血清検体の収集を終了し、それを用いたペプチドーム解析に今年度予算をすべて使用する予定である。
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