2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子工学的手法によるHLAタイプ改変iPS細胞の作製技術開発
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26670799
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
手塚 建一 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50236973)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯髄細胞 / HLA / iPS細胞 / Zinc Finger Nuclease / ゲノムエディティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、50種類で7割の日本人に適合するHLAハプロタイプホモ細胞を、ゲノム編集技術によって作り出すことである。HLAハプロタイプホモドナーは、大規模なスクリーニングによって得ることが可能であるが、稀なHLAタイプがホモになる確率は非常に低く、日本人の2割程度は数十万人のスクリーニングでもカバーできないと予想される。そこで、近年進歩が著しいゲノム編集技術を利用して、擬似的にHLAハプロタイプホモ細胞を作り出す技術を開発することを試みた。 HLAタイプがA*02,33;B*44,-;DRB1*13,-の歯髄細胞(DP144)を用いて、表現型がA*33,N;B*44,-;DRB1*13,-という、見かけ上日本人出現頻度2位のHLA3ローカスハプロタイプホモ細胞を作製した。DP144にエレクトロポレーションによりHLA-A2遺伝子のエクソン2および3配列に特異的なzinc finger nuclease (ZFN)をコードするプラスミドベクターを導入後、抗HLA-A2モノクローナル抗体で標識し、FACSにて陰性画分を回収した。細胞を培養後、DNAを抽出、PCR法によってHLA-A2領域を増幅して塩基配列を確認したところ、約5割の細胞で変異が確認された。一方、HLA-A33アリルには変異は確認されなかった。さらに、この細胞に、センダイウイルスベクターをもちいて山中4因子を導入し、iPS細胞コロニーを得た。 ポリモルフィズムが高い領域を選んで、ZFNを設計することによって、HLA-Aの片アリルだけを破壊することができた。HLA-A2は世界的にも出現頻度が高いアリルであり、国内だけでなく海外で集めた細胞にも使用することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HLA領域をターゲットとしたZFNの設計は、サブタイプ同士の配列の類似性の高さから、困難が予想された。しかし、DP144とOnelambda社が作製したHLA-A2特異的モノクローナル抗体を利用することにより、HLA-A2への変異導入率を約5割まで高めることができた。3種類設計したZFNは、どれも目的通りの活性を持っており、本年度の目標は十分に達成できたと考える。iPS細胞の作製についても、順調に進んでいる。 しかし、さらに変異率を高めるためのTk-Neo遺伝子の導入用プラスミドについては、必要な遺伝子断片の入手までにとどまり、来年度の課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
ホモロガスリコンビネーションによるTk-Neo遺伝子の導入のためのプラスミド構築を行い、設計済みのZFNとともに、DP144細胞に導入する。G418によるセレクションとFACSを組み合わせて変異細胞を濃縮後、iPS細胞誘導をおこない、HLA-A2陰性、G418耐性、ガンシクロビル感受性のiPS細胞クローンを得る。得られたiPS細胞を免疫不全マウスに移植し、テラトーマを作らせる。ガンシクロビル投与によって、テラトーマが縮小するかどうかを確認する。 すでに得られているiPS細胞については、HLA領域のエクソーム解析をおこない、オフターゲット変異の有無を確認する。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに研究が進み、必要な物品がすべて購入できたため、残額を次年度に繰り越して有効活用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越し額は少額であるため、消耗品購入に充てる。
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