2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞内・細胞外メッセンジャーの生体イメージング法の確立
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26670812
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70217149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根津 顕弘 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00305913)
森田 貴雄 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20326549)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛍光センサー / FRET / 細胞内シグナル / イノシトール三リン酸 / カルシウム / アセチルコリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、副交感神経を介する唾液分泌における神経伝達物質の放出から腺房細胞の Ca2+応答までの過程を明らかにするために、アセチルコリン(Ach)と IP3 の イメージング法を開発する。従来の1分子FRETでは、生きた動物のイメージングに利用できる高感度センサーの開発は極めて難しいと考えられる。そこで本研究では、競合的蛍光リガンドアッセイ(CFLA)法という新しい蛍光センサーの開発原理を確立し、その原理を応用した高感度Achセンサーと高感度IP3センサーを開発する。 1) 先行研究において、リガンド結合ドメインと蛍光タンパク質(CFP)の融合タンパク質に蛍光リガンド(蛍光アデノフォスチン)が結合する事によってFRET反応が起こることが明らかにされた。H26年度は、リガンド結合ドメインの三次元構造に基づいた分子設計によって、FRET反応を増強するCFP連結部位を同定した。 2) CFLA法では、蛍光リガンドと非蛍光リガンド(測定対象物)の競合的な結合を利用する ため、親和性が高い蛍光アデノフォスチン(IP3の約100倍)を使って生理的なIP3濃度の測定が困難であった。そこで低親和性蛍光アデノフォスチンを用いることによって、IP3の測定感度を高め、3nM程度のIP3測定が可能になった。また、この方法を使ってリガンド結合ドメインに結合する物質の検索が可能になった。この新しい測定法と測定原理を特許として申請した(研究協力者:村田佳織)。 3) 蛍光センサー開発におけるCFLA法の有効性を検証するために、蛍光タンパク質と蛍光ペプチドの結合によるFRET反応と、競合ペプチドによる蛍光変化が起こることを明らかにした。この結果によって、CFLA法の原理がアセチルコリンやIP3以外の様々な測定に応用できる事が明らかなった(研究協力者:高橋亜友美)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予算の減額に対応するため、コストがかかる有機合成蛍光センサー用有機化合物のカスタム合成の代替法として、蛍光ペプチドを用いる方法に計画を変更した。H26年度はその方法の検証を行い、初年度に計画していたアセチルコリン(Ach)センサーの開発をH27年度に行うこととした。その結果、Achセンサーの開発に遅れを生じた。
一方、IP3センサーの開発を優先させたことによって、CFLA法を使った新しいIP3測定法を開発することができた。また蛍光ペプチドを用いた方法が、AchやIP3以外の生理活性物質の測定原理として応用できる事から、この成果は特許として申請できた事は大きな進展といえる。
Achセンサー開発が遅れたことから総合的にはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) H26年度に開発したIP3測定法を発展させて、細胞内IP3濃度を測定するために、蛍光センサーおよび低親和性蛍光リガンドを細胞内に導入する方法およびそれによるIP3測定を試みる。導入としてマイクロインジェクション法、細胞膜透過性ペプチド試薬等を比較する。 2)IP3センサーの導入法と平行して蛍光ペプチドを使ったIP3測定法を開発を試みる。IP3受容体のリガンド結合ドメインに結合する分子としてIRBITが知られており、この分子あるいはその結合部位を使ったセンサーの開発を検討している。さらにリガンド結合ドメインと蛍光アデノフォスチンの結合を利用して競合するペプチドを検索する。 3) Achセンサーとしてニコチン性アセチルコリン受容体あるいはアセチルコリン結合タンパク質(AchBP)とニコチン受容体結合ペプチド(RGB29)を使ったセンサーの開発を試みる。 2)と3)は、削減された予算的内で研究計画を実施するために、有機蛍光リガンドのカスタム合成の代替法であるが、成功すれば利便性の高いセンサー開発が可能になると期待される。
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Causes of Carryover |
蛍光物質のカスタム有機合成から蛍光ペプチドへの計画変更し、Achセンサーの開発をH27年度に実施するためにH26年度の助成金の一部をH27年度に繰越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度の助成金と合わせて、蛍光ペプチドと蛍光タンパク質を使ったAchセンサーの開発に使用する。
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Research Products
(2 results)