2014 Fiscal Year Research-status Report
細菌性バイオフィルムの固着を阻害する新規化合物の作製と感染制御効果の検索
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26670816
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 真隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00412403)
土門 久哲 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00594350)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂質化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは,癌の免疫療法薬の開発を目指し,免疫活性化作用を示すジフテリア菌の細胞表層糖脂質TDCMに着目し,その誘導体合成と構造活性相関研究を展開してきた.そして,近年,アレルギー性ショックや重篤な炎症性症状を引き起こすことなしに,免疫力を活性化して,癌の転移・増殖を効果的に抑制する糖脂質をジフテリア菌成分から同定し,「Vizantin」と命名した.Vizantinの生物活性を検索したところ,固着緑膿菌に対して殺菌作用を有することが示唆された.そこで,Vizantinの細菌性バイオフィルム形成阻害・平滑面への菌体付着に対する効果について,う蝕原因菌であるミュータンス菌,および院内感染症の起因細菌MRSAを用いて検討し,バイオフィルム阻害効果を有する臨床応用可能なVizantin誘導体の作製を図ることにした. (1) Vizantinの動物への投与も考慮し,溶解剤を選択した.Vizantinを含む免疫賦活効果を示す化合物(約50種類)は,水に不溶性であるため,エマルジョン溶液,あるいは5%血清アルブミン溶液に溶解した.(2) Vizantinの溶解性を向上させるため,解析ソフト(ケムドローウルトラ,MOE)を用いてin silicoスクリーニングを行った.今回は、Vizantinのトレハロース部位の構造を変化させ,溶解性が高いと考えられる約20種類の化合物を有機合成した.(3) ミュータンス菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のバイオフィルム形成に対する各種化合物の効果について,クスタルバイオレット,Syto9,ローダミンDなどの染色剤を用いて解析した.歯面を模倣するため,カチオンチャージした96ウェルプレート,および人工唾液でペリクルを形成したハイドロキシパタイト樹脂を用いて候補化合物を探索した.バイオフィルムの画像は、Keyence社製BIOREVOを用いて解析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二ヶ年計画の研究初年度は,これまでVizantinの欠点であった溶解性の悪さ故の薬物調製の難しさを克服するため,in silico構造予測スクリーニング法により,溶解性の向上したVizantinの構造をコンピューター上で網羅的に探索検証し,候補化合物の合成を行った.これまでの検証の結果,Vizantinの脂肪側鎖部位の構造は,活性発現にとても重要なため,トレハロース部位の水酸基に着目した誘導体の作製を行った.その後,Vizantin,および新たに合成した誘導体をミュータンス菌やMRSAのバイオフィルム形成実験に供し,バイオフィルム形成抑制作用,あるいはバイオフィルムの平滑面付着抑制作用を有する化合物の同定を行った.計画二年目は,実験用小動物を用いたin vivoモデルに対する候補化合物の効果について評価する計画となっており,概ね順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
実験動物は,生後15日目に強制離乳させたSprague Dawley系ラットの雄を使用する.生後15日目から前年度に選出した化合物をイソフルランで麻酔したラットの歯面に毎日塗布する.さらにミュータンス菌液を1日1回,ラットの口腔内に直接摂取する.二週間後、歯面へのプラーク形成状態についてRegoratiとHolzの方法で算出する.【寺尾・小田】 (2) 候補化合物のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の感染拡大に対する効果を解析するため,Chamber modelを用いて解析する.ステンレスコルクをマウスの背部へ埋入後,候補化合物を1週間に2回,経口,あるいは静脈内投与する.2週間後,コルク内部へ発光遺伝子(pGEN5)を有したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を注入し,IVIS50を用いて黄色ブドウ球菌の感染局部における挙動を経時的に観察する.共試菌感染後も候補化合物の投与を続ける.【寺尾・土門】
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Causes of Carryover |
脂質化合物の合成に際し,可溶化率の高い化合物のスクリーニングに時間を要した.その結果として,合成する化合物の購入試薬の遅れが生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に,計画に要する化合物のスクリーニングは終了しており,計画を1ヶ月程度ずらして大量合成に必要な試薬を順次購入する計画である.
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Clostridium perfringens alpha-toxin induces GM1a clustering and TrkA phosphorylation in the host cell membrane.2015
Author(s)
Takagishi, T., Oda, M., Kabura, M., Kurosawa, M., Tominaga, K., Urano, S., Ueda, Y.,Kobayashi, K., Kobayashi, T., Sakurai, J., Terao, Y., and Nagahama, M
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Journal Title
PLoS one
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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[Journal Article] Residual structure of Streptococcus mutans biofilm following complete disinfection favors secondary bacterial adhesion and biofilm re-development.2015
Author(s)
Ohsumi, T., Takenaka, S., Wakamatsu, R., Sakaue, Y., Narisawa, N., Senpuku, H., Ohshima, H., Terao, Y., and Okiji, T.:
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Journal Title
PLoS one
Volume: 10
Pages: e0116647
Peer Reviewed
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[Journal Article] Vizantin inhibits endotoxin-mediated immune responses via the Toll-like receptor 4/MD-2 complex.2014
Author(s)
Oda, M., Yamamoto, H., Shibutani, M., Nakano, M., Yabiku, K., Tarui, T., Kameyama, N., Shirakawa, D., Obayashi, S., Watanabe, N., Nakase, H., Suenaga, M., Matsunaga, Y., Nagahama, M., Takahashi, H., Imagawa, H., Kurosawa, M., Terao, Y., Nishizawa, M., and Sakurai, J.
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Journal Title
J. Immunol.
Volume: 193
Pages: 4507-4514,
Peer Reviewed
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