2014 Fiscal Year Research-status Report
ジルコニア/陶材傾斜機能材料の創製と歯冠修復への応用
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26670827
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
塚田 岳司 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70236850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 光男 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30116066)
蟹江 隆人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70152791)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 傾斜機能材料 / ジルコニア / ポーセレン / 放電プラズマ焼結 / 歯冠修復材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
放電プラズマ焼結法によりジルコニアと陶材の2種類の素材から成る傾斜機能材料を作製した。組成を段階的に傾斜させて層状の試験片を作製し、それぞれの層の厚さを同じにして傾斜させたものと、それぞれの層の厚さまで段階的に傾斜させたものの2種類の傾斜機能を持つ試験片を作製した。焼結条件は、焼結温度1350℃、焼結時間4分、加圧力10MPaとした。また、作製した傾斜機能材料のそれぞれの層の配合比に従って作製したジルコニアと陶材から成る複合材料の試験片についても、同じ焼結条件で作製した。測定は3点曲げ試験、X-線回折、相対密度について行い、電顕観察やmulti-layer beam theoryによる熱応力解析も行った。曲げ試験の結果は、単体および複合材料の試験片においてはジルコニア単体の曲げ強度が最も高く、陶材の配合率が高くなるにしたがって曲げ強度は減少した。また、傾斜機能材料においてはジルコニア100%の層を下側にして曲げ試験を行った場合は、いずれの傾斜機能材料の曲げ強度もジルコニア単体と同程度まで上昇した。また、ジルコニア100%の層を上側にして曲げ試験を行った場合には、層の厚さが同じ場合にはジルコニア単体の43%までしか曲げ強さは上昇しなかったが、層の厚さまで傾斜させた場合には、ジルコニア単体の約75%まで上昇した。また、破面を観察を行ったところ、層間の剥離は認めなかった。X線回折測定の結果では、無加圧の焼結と比較すると、放電プラズマ焼結法では立方晶の割合が多く28.5%であった。熱応力解析の結果を考慮すると、傾斜機能材料の曲げ強さはジルコニアの補強効果の影響が大きいと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は、保存修復材料として最適な理工学的性質を有するジルコニアと陶材を素材とした傾斜機能材料の作製法の確立であったが、理工学的性質の中でも修復材料の評価の基準として最も用いられる曲げ強さについて解析を行い、臼歯部の交合力にも十分に耐え得る曲げ強度を有した傾斜機能材料の作製法が確立できたということで、当初の目的に大きく近づいたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回は、主に傾斜機能材料の曲げ強さについて測定、解析を行ったが、ジルコニアフレームに陶材を焼き付ける現行の方法では、陶材の割れやチッピングが大きな問題となっている。そのためわれわれが開発中の傾斜機能材料においても表面層の靭性についての解析も重要であると考えられる。そこで、今後は放電プラズマ焼結法で作製した傾斜機能材料の試験片について破壊靱性値の測定、解析を行い、臨床に応用可能な傾斜機能修復材料の作製法の検討を行う。
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Causes of Carryover |
歯冠修復材料に適した傾斜機能材料を作製するために、本実験で試料作製に使用している現有設備の放電プラズマ焼結機の改良が必要となり、そちらに費やす時間が予想外にかかったため、本年度において試料作製に費やした物品費が少なくなり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、改良した放電プラズマ焼結機を用いて、歯冠修復材料により適した傾斜機能材料の試料を作製し、その理工学的性質についての解析を行っていく予定である。
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