2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670828
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20125008)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯内療法 / 再生 / 根尖病巣 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、根尖病巣の大きさに合う粘膜穴を介して歯槽骨に穴を開け、病巣に到達させ、そこから根の周囲を清掃、消毒し、同部には再生を促す三次元ゲルを充填することで、歯根周囲組織の再生をうながし、歯牙を保存するという新しい挑戦である。この方法は、従来のように根管治療では不可能な場合に行われている歯根端手術や抜歯と異なり、歯は歯、根尖病巣は根尖治療という2 つの治療概念で歯の保存をより確実にするものである。 その結果、歯は歯内療法により無菌化がなされ、根尖部は、根尖療法により無菌化再生を促すという、歯内療法的治療概念を離れた歯牙保存療法を確立するチャレンジ性がある。従来、保存学は便宜的に、修復学、歯内療法学および歯周療法学と3 つに分かれていたが、実際には根尖病巣に対する治療法はこの3 つの学問の中では理解しにくい分野であった。歯内療法学が、根管治療と称し、歯内から根尖部にできた病巣を治療してきたが、病巣自体が根尖の広範囲に形成されていることが多く、主根管を治療経路とする歯内療法ではその限りがあり、また、細菌などが原因であるにも関わらず、抗菌薬を貼付することなく、化学薬剤を中心に治療してきた点にも大きな医学的原因療法に齟齬が生じていることは否めない。本研究では、根尖治療学を導入することで、歯管内を清掃、消毒、根充填する歯内療法学と合わせて、歯牙を保存する提案である。 すなわち、歯内は歯内の完全治療を、そして根尖治療学では、根尖の病巣を治療、再生させることで、従来の歯内療法された歯牙の保存率を確実に高めるものである。その結果、再根管治療も抜歯の率も軽減することができる。ひいては、医療費の削減にもつながり歯科医療を歯科医学に基づくものとさせるために重要な研究となる。 平成26年度は、根尖病巣1590例を分析することと、実験方法の確立に時間を費やした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、本研究の仮説の根拠を裏付けるために、病理組織学的に歯根嚢胞・歯根肉芽腫と診断された症例における感染的要因の関与の占める割合を、臨床統計学的に検討感染を除去することが根尖病巣治療に重要なことが示され、本研究を行う意義づけとなった。一方で動物実験を開始するに当たり、ビーグル成犬を用い、歯牙抜髄後、根尖部に病原菌を混合感染させ、根尖病巣を作った。この確認のため組織標本を作製し、根尖病巣の形成を確認できた。しかし、26年度中に実験を進めるには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に根尖病巣を作ることができたので、病巣の歯牙直上に生検トレパンを用いて、粘膜穴を開け、ついで生検トレパンと同直径のラウンドバーにて病巣に穿通孔を開ける。この穿通孔は同直径のチタン円盤で封鎖する。根管から注入した洗浄液が穿通孔より流出することを確認し、1 日おきに洗浄を繰り返す。洗浄液を毎回回収し、細菌検査を行い確認する。細菌の激減を確認後、三次元培養歯髄を含むゲル作製注入し、形態学的に再生を確認し、本研究が臨床的にも応用可能な、トランスレーショナルリサーチに発展させていく。。
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