2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670847
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山下 仁大 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70174670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 美穂 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (40401385)
永井 亜希子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (40360599)
堀内 尚紘 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (90598195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオセラミックス / リン酸カルシウム / ハイドロキシアパタイト / 電気分極 / スキャホールド / 硬組織代替デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人工材料と自家骨の併用移植療法についての新しい方法論を提案するものである。市販のセラミックス材料と手術時に摘出される自家骨に電気分極法を適用することで、それぞれの骨再生能を向上することを目指す。自家骨とセラミックス材料の骨再生機能を相乗的に利用することで、併用移植療法が飛躍的な骨再生効率の向上が期待される。さらに、細胞生物学的、分子生物学的解析も行うことで、骨再生機能向上機構を明らかにすることを目指す。これらの高機能化を実現するためには、 ①骨再生効果が最も高い分極条件の最適化、 ②動物実験による骨再生能向上の証明、 が必要である。初年度である本年度は、骨再生効果を最も効率よく発現させるために、自家骨とセラミックス人工材料について電気分極条件の最適化を行った。セラミックス材料には骨補填材として臨床応用されているハイドロキシアパタイト(HAp)とベータ・リン酸三カルシウム(β-TCP)顆粒を利用し分極処理を行った。分極処理において主要なパラメータは三つ(温度、電圧、処理時間)ある。 先行研究に成果をふまえ、分極時の温度は300 °Cと固定し、電圧(電場強度)を数V/cmから数百V/cm の間で変化させ、処理時間1時間にて分極処理を行った。それぞれの条件について、熱刺激脱分極電流測定により蓄積電荷量を求めた。蓄積電荷量は印加電圧の増加に伴い漸増し、今回行った実験の範囲では極値は見られなかった。より高い電圧で分極処理することが望ましいことが分かった。同時に材料学的解析を行うことによって物性変化の有無について確認した。分極処理を行ったHAp とβTCP 顆粒について、XRDによる結晶相の同定、フーリエ赤外分光分析による含有イオンの同定、走査型電子顕微鏡による表面形状の観察を行った。これらの解析結果では分極処理前後で差異は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施の概要に記載したとおり、年度当初に予定していた研究をほぼ遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は骨再生能の検証を行うために骨欠損埋植試験を行う予定である。組織学的解析により新生骨形成能および細胞の同定と局在性についての比較検討を行う。遺伝子発現解析により骨再生バイオマーカーの検討を行い、骨再生機能向上機構を明らかにする。材料学解析、生物学解析にはそれぞれの専門家である研究分担者から研究組織を作り、密に連絡をとりながら研究を進め、臨床家との連携を保ちながら、臨床応用を目指す。
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Causes of Carryover |
2014年8月31日から9月3日イギリス・リバプールで開催された26th Annual Conference of the European Society for Biomaterialsで研究成果発表のための旅費として計上した。旅行者が2014年9月から2015年3月まで、フィンランドオウル大学において長期研修に従事していたため、クレジットカード明細を含む精算資料一式の提出が遅延したため、本年度決済が行われず、次年度決済となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に計画している研究成果発表旅費として使用する予定である。具体的には、2015年8月30日から9月3日にポーランドで開催される27th Annual Conference of the European Society for Biomaterialsにおける研究成果発表を予定している。
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