2014 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原細菌をターゲットとした歯肉溝挿入型微小バイオセンサーの開発
Project/Area Number |
26670850
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70168821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建部 二三 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (10534448)
門 貴司 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (20632540)
古市 保志 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80305143)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオセンサー / 歯周病源菌 / 化学修飾 / チタン / 抗原-抗体反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、特定の歯周病源菌をターゲットとした診断デバイスを開発するために、抗原-抗体反応を利用したバイオセンサーを作製するための基盤技術を確立した。具体的には、チタン電極の表面に歯周病源菌の抗体を機能を維持した状態で安定に結合させる表面処理法を詳細に検討し、抗体を高密度で電極表面に修飾する手法を確立した。チタン電極表面の(1)洗浄法、(2)表面皮膜の熟成法、(3)カップリング剤(ホスホン酸系)を用いた抗体の結合法を検討し、各処理段階のチタン表面の構造ならびに架橋剤と抗体の結合状態をX線光電子分光装置(XPS)と水晶振動子微小を用いて調べた。その結果、(1)チタン電極の表面は、塩化メチレン、メチルエチルケトンおよびメタノール中でそれぞれ5分間超音波洗浄することによって、表面に存在していた汚染物質が除去されて清浄となることが分かった。(2)清浄にしたチタン電極を200℃の電気炉内で2時間加熱することによって、酸化物皮膜の成長と表面水酸基量が増大て、表面が親水性化することが分かった。(3)親水性化したチタン電極を0.1%10-carboxydecylphosphonic acid (10-CDPA)水溶液を用いてスピンコーティングし、その後120℃の電気炉内で48時間加熱することによって架橋剤分子を結合させ、チタン電極の表面にカルボキシ基を導入した。(4)チタン表面のカルボキシ基と抗体のアミノ基を縮合剤(EDC)を含む緩衝液(pH7.0)中で結合させることによって、チタン電極表面に歯周病源菌の抗体を修飾できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、バイオセンサーを構築した上でその病原菌に対する応答を調べ、開発初期における基本的な性能(感度、検出限界など)を明らかにする予定であったが、センサーの構築に目途は立ったものの、性能の評価までには至らなかった。したがって、予定していた学会での成果の発表も実現しなかった。この理由は、チタン電極の表面に抗体を化学修飾する手法を従来から採用してきた手法から、より高いセンサーの感度を実現するために、抗体をより高密度に安定して修飾できる手法を検討するのに時間を要したためである。 しかし、センサー開発の基盤技術は既に確立できたことから、本年度(平成27年度)には昨年度に実施できなかった分も含めて研究計画通りに研究を進行させる予定であり、特に大きな問題ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究は、当初の研究計画からは少し遅れているものの、平成27年度に実施する研究に特に支障は生じない。平成26年度にセンサー開発の基盤技術は既に確立できたことから、平成27年度には昨年度に実施できなかった分も含めて研究計画通りに研究を進行させる予定である。具体的には、開発した微生物センサーを嫌気性培養器内に設置し、細菌培養下で細菌濃度と出力(電位差)との関係を詳細に調べる。得られた結果に基づいて、検出感度を向上させるためにチタン表面への抗体の化学修飾法に改良を加える予定である。
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Causes of Carryover |
物品費に端数(15円)が生じ、この額に相当する物品を調達できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に使用する予定である。
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