2015 Fiscal Year Annual Research Report
PTHrP産生口腔腫瘍の微小環境における間質細胞の変化は何に基づいているか?
Project/Area Number |
26670855
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 千晴 北海道大学, 大学病院, 講師 (50222013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 史裕 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50301891)
北村 哲也 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00451451)
間石 奈湖 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00632423)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | PTHrP / 腫瘍微小環境 / CAF |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍間質に存在する線維芽細胞cancer-associated fibroblasts(CAF)は、正常細胞とは異なる形質を発現しており、癌細胞との相互作用の重要性が注目されている。今回、口腔癌細胞と間質細胞の相互作用について検索した。 1)病理検体での間質の異常性:当院歯科診療センターの扁平上皮癌および前癌病変患者からの生検材料を病理学的に検索した。その結果腫瘍細胞でのPTHrP発現とHuRの局在変化には相関がみられ、PTHrP陽性症例では間質の線維芽細胞にαSMA陽性のCAFが有意に多かった。更にCD34陽性の血管内皮細胞は径が小型で幼若なものが多かった。 2)PTHrP高発現口腔癌細胞による正常線維芽細胞のCAF誘導効果 (1)PTHrPを高発現している口腔癌細胞株HSC2と正常線維芽細胞株を共培養すると、線維芽細胞の増殖活性の亢進とαSMAの発現亢進が認められ、このような所見はPTHrPによるCAFへの誘導効果を示した。(2)HSC2細胞にPTHrP siRNAを導入し、ノックダウンするとPTHrPのmRNAレベルでの発現が約1/5に減少した。このPTHrPノックダウンHSC2細胞と正常線維芽細胞との共培養では、線維芽細胞の増殖活性は著しく減少し、αSMA発現亢進も認めなかった。(3)線維芽細胞株MRC5,DP31,DP36はPTHrP受容体であるPTH1Rを発現していた。HSC2培養上清で処理したDP31,DP36は通常培養下のものと比較しERKのリン酸化が亢進していた。チロシンキナーゼ型細胞膜レセプターの多くは、レセプターの下流のシグナル伝達系でMAPキナーゼ、とくにERKのリン酸化により細胞増殖や分化が誘導されることが知られている。今回の検索結果より、PTH/PTHrPレセプターを介したERKのリン酸化により、線維芽細胞のCAFへの誘導が生じていることが示唆された。
|