2014 Fiscal Year Research-status Report
骨芽細胞および造血幹細胞の活性化による放射線性骨壊死の治療法の開発
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26670874
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 毅 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60406494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 通彦 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10453630)
水野 洋介 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (30406532)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 造血幹細胞 / (Asp-Ser-Ser)6 / NFAT遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄の内部で、骨を作る細胞においてNFAT遺伝子が活性化できなくなることにより血液を作る細胞の増殖が引き起こされ、骨を作る細胞が活性化され、骨の量が増加することが報告されている(SeslerらClin Dev Immunol 2013)。マウスの生体に対して、NFAT遺伝子の活性化を低下させるような合成ペプチドを骨組織の細胞に導入し、血液を作る細胞の増殖を引き起こし、骨を作る細胞を活性化させることができるか、検討を行うこととした。そのためには、骨組織に吸着するペプチドをマウスに投与して、骨組織に取り込まれるのかどうかを調べる必要があり、今年度はその実験を行った。 Zhangらは、ラットにおいて石灰化面に吸着するペプチドである(Asp-Ser-Ser)6(すなわち(DSS)6)を組み込んだリポソームを血中に入れると、ペプチドが骨面に吸着することを発見し、デリバリーシステムを構築している(ZhangらNat Med 2012)。われわれはマウスにおいてこのデリバリーシステムが有効かどうかを調べた。まずFITCという蛍光タンパク質を標識した(DSS)6のペプチドであるFITC-(DSS)6を作製した。このFITC-(DSS)6をマウスの腹腔内に投与し、48時間後に大腿骨を摘出してClairvivo OPTという蛍光タンパク質を検出できる機器を用いて、大腿骨における蛍光の検出を行った。その結果、蛍光タンパク質は大腿骨頭付近に強く集積していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画として、マウスにおけるデリバリーシステムが有効かどうかを検討することであったため、その検討を行ったところ有用性が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
当大学に現有していたClairvivo OPTがSPFルームに移動したが、その部屋はすでに他の教室のマウスで占有されており、われわれがマウスを新たに飼育する状況が困難で、Clairvivo OPTを使用した実験が遂行できない。そのため、今後は細胞レベルの実験で生体により近い状況を作り出して、検討する必要性が出てきた。対応策として、①X線照射を行ったマウス骨髄幹細胞と脂肪組織幹細胞を共存培養することで造血幹細胞の増殖が起こるかどうかを検討する。②①にNFAT遺伝子をノックダウンした骨芽細胞株を培養して骨芽細胞分化が促進されるどうかを検討する。③NFAT遺伝子をノックダウンしたマウス骨芽細胞をマウス骨髄に注射して造血幹細胞の増殖が促進されるか、骨芽細胞分化が促進されるかを検討する、などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
概ね順調に実験を遂行していたが、予定より少ない回数で予備実験が済んだため、残金は次回に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の実験では、細胞培養の費用として計上する。
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