2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞特異的エストロゲン受容体欠損マウスを用いた進行性下顎頭吸収の分子標的治療開発
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26670882
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森山 啓司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20262206)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 下顎頭吸収 / エストロゲン / 軟骨細胞 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
下顎頭の変形および吸収が継時的に変化する進行性下顎頭吸収(Progressive Condylar Resorption; PCR)は、下顎後退・前歯部開咬を呈し、重篤な症例ではQOLが著しく低下する。治療においては外科的矯正治療を余儀なくされる場合も多く、時に咬合治療の施行自体が困難となりうる難治症例である。PCRは女性に多く、エストロゲン欠乏症の併発が多い事等から、性ホルモンであるエストロゲンの関与が強く示唆されている。本研究では分子生物学的手法を用い、顎関節を中心とした顎顔面領域におけるホルモンの影響、刺激に対する遺伝子発現変化の検討を行うことを目的とした。 まず、ペプチドホルモンであるリラクシン(RLN)が骨芽細胞と破骨細胞の分化マーカーの発現に関与し、RLNの受容体であるRxfp2を介して骨芽細胞のコラーゲン生成を促進する事を明らかにした。さらに、マウス胎児の下顎骨・上顎骨を含む頭蓋顔面領域にヒストンメチル化酵素であるWHSC1が発現する事を見出した。特に口蓋においてはレチノイン酸の過剰投与によりWHSC1の発現が抑制され、口蓋裂の発生との関与が示唆された。また、エストロゲン受容体に関してはマウス軟骨細胞株であるATDC5ならびにマウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞MC3T3-E1の入手およびsiRNAによるエストロゲン受容体(ERα、β)のノックダウン系の確立を行った。現在細胞表現型(増殖、遊走、分化、細胞死のアッセイ)の解析について詳細な検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験室の環境整備の都合上細胞培養系の実験系の確立に時間を要したが、実験に必要な材料の準備が整い、性ホルモンの一種であるペプチドホルモンであるリラクシン(RLN)が骨芽細胞と破骨細胞の分化マーカーの発現に関与し、RLNの受容体であるRxfp2を介して骨芽細胞のコラーゲン生成を促進する事を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はPCRモデル動物の作製を進める。ERαおよびERβそれぞれを骨芽・軟骨・破骨細胞特異的にノックアウトするcKOマウスを作製し、エストロゲンの作用が各細胞で欠失した下顎頭の変化を解析する。cKOマウスの作成はCre-loxP systemを用い、ERα floxマウスおよびERβ floxマウスと、Osx creマウス(骨芽細胞特異的)、col2a1 creマウス(軟骨細胞特異的)もしくはCathepsin-K creマウス(破骨細胞特異的)との交配で行い、6種のcKOを得る。
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Causes of Carryover |
研究室を含む施設の改修工事のため、実験室の使用が困難な時期があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
環境整備の都合上細胞培養系の実験系の確立に時間を要したが、今後実験モデルマウスの作製に企てる。
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Research Products
(7 results)