2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体適合性を有する3次元ナノ・マイクロパターン化足場材料による歯周組織再生
Project/Area Number |
26670892
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 賢 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (00322850)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯根膜細胞 / 生体適合性 / 足場材料 / 中間水 / 細胞接着 / 水和構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療における細胞を用いた臨床応用では、安全性を確保する目的で、ウシ血清のような動物由来成分を用いない無血清もしくは低血清培地条件下で細胞が接着し、安全に培養が可能な足場材料の開発が求められている。中間水を有する合成高分子は異物反応が軽微で、低毒性を示し、変異原性がない安全な高分子である。本研究では、無血清培地環境下で、中間水を有する高分子に細胞が接着可能かどうかを評価するために、無血清培地条件下におけるヒト歯根膜細胞(PDL)の接着性について調べた。シクロオクテン系高分子に注目すると、側鎖のメトキシ基の数あるいはエチレングリコール鎖長の増加に伴い、PDL細胞の接着数が増加する傾向がみられた。中間水を有する高分子上でPDL細胞が接着できることが明らかになった。0.8~4.0 wt%の中間水量を有する生体適合性高分子表面は、血小板粘着を抑制するが、PDL細胞は接着する細胞種接着選択性を示すことを明らかにた。以上の結果より、細胞はタンパク質非存在下においても高分子基板に接着できることがわかった。無血清培地条件下でEDTA添加によるインテグリン依存性の細胞接着を阻害したところ、フィブロネクチンコーティング表面以外の全ての基板上でPDL細胞の接着は阻害されなかった。したがって、無血清培地条件下では、PDL細胞はインテグリンを介さず、PDL細胞表面の糖鎖や糖タンパク質などと高分子鎖が非共有結合(疎水性相互作用、水素結合など)することにより、非特異的に接着していると考えられる。以上のように、中間水型の合成高分子は、PDL細胞の接着・増殖を安全に制御できる基材として期待できる。また、超解像蛍光顕微鏡(direct Stochastic Optical Reconstruction Microscopy:dSTORM)を用いて、PDL細胞と材料との接点で形成される接着部位をナノメートルオーダーで観察できるシステムを構築した。
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