2014 Fiscal Year Research-status Report
歯肉溝滲出液の網羅的な質量分析解析法による乳歯と永久歯の生物学的特性の比較
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26670896
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山本 松男 昭和大学, 歯学部, 教授 (50332896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 美津子 昭和大学, 歯学部, 教授 (20112724)
板部 洋之 昭和大学, 薬学部, 教授 (30203079)
小出 容子 昭和大学, 歯学部, 助教 (40407466)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯肉溝滲出液 / 永久歯 / 乳歯 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人永久歯GCF中の代謝性疾患及び炎症性マーカーを中心に解析し、全身の炎症や糖尿病の病態がGCFに反映することを明らかにした(Noguchi et al. 2013)。一方で、乳歯GCFを用いた研究はほとんどなく、成人GCFの報告を参考に行われるものがほとんどで、GCF構成成分が同様であるか不明である。また、乳歯では歯肉炎は歯周炎に進行することが希で成人の歯肉炎と大きく異なる。本研究の目的は、乳歯と成人永久歯の歯肉溝滲出液(GCF)中の成分を質量分析機により網羅的定量解析をし、含まれる成分の比較検討をすることである。本研究では、乳歯と永久歯のGCFを比較し、異なる成分を見出すことで成人性歯周炎が発症に関わる分子機構の一端を明らかにすることを目的にしている。 これまでに、成人永久歯のGCF中の代謝性疾患および炎症性マーカーを網羅的に解析し、全身の炎症や糖尿病の病態が血清と同様にGCFにも反映することを明らかにした(Noguchi et al.2013)。解析方法の確立を目的として男児数名の乳歯・永久歯GCF中の成分をiTRAQ®法によるLC/MS解析により網羅的定量解析を行った。その結果、好中球機能を反映する分子の発現が乳歯歯肉溝滲出液で上昇していることが明らかになった。これらの結果は、応募者のこれまで報告してきた上記の結果を裏付けるものだった。 歯肉炎から歯周炎に進行するメカニズムの解明の一端に、小児の乳歯・永久歯と成人永久歯GCFとの成分間での相違が関与する可能性は、これまでの歯周病進展に関する研究概念にない斬新な手法であり、今後計画にもとづいて試料採取を継続し、解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者からのサンプルの採取が順調に進行した。また、取得したサンプルの状態が良好で、質量分析機による解析で、安定した結果が得られつつある。計画の基盤となる、サンプルの解析方法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画の通りに、乳歯及び永久歯から歯肉溝滲出液を採取して、質量分析を進め、特徴的な分子に対してはウェスタンブロットなどの別の定量的な解析方法により,特徴づけている分子発現の確認作業を進める。
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