2014 Fiscal Year Research-status Report
看護管理者の新たな戦略的学習プログラムの開発:コミュニティの醸成による組織の変革
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26670918
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
緒方 泰子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (60361416)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護管理 / リーダーシップ / コミュニティシップ / リフレクション / 経験学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護トップマネジャー(看護部長等)やミドルマネジャー(看護師長等)のリーダーシップやフォロアーシップ、課題解決力を高めるために、自組織内で直面している課題を教材としながら、管理者自身が継続的に取り組む管理者育成のための新たな学習プログラムの開発を目的としている。平成26年度は以下により成果を得た。 1)国際大学院プログラムの教育方法を通じた情報収集:(1)医療専門職等である管理者が実際に直面した課題を教材としながら行う教育・学習法を採用している国際大学院―McGill 大学のInternational Masters for Health Leadership(IMHL)―について情報を収集した(2014年6・8・10月、2015年2月)。(2)IMHLの担当教授より、日本の保健医療専門職に対しプログラムの特徴や参加が推奨される対象者像等について文書で紹介してもらった。 2)先行研究や実践における取り組み例を通じた情報収集:(1)既存のプログラムの基盤にある理論を整理するため、文献検討を行った。例えば、他領域で取り組まれている「経験学習」という考え方が、開発を目指している学習プログラムに非常に参考になると考えられた。(2)看護管理者同士が実践を教材として学ぶ、病院や訪問看護ステーションにおける取り組み事例について情報を収集した。 3)マネジメント経験に関する個別インタビュー調査:IMHLの担当教授やMcGill大学関係者等より助言を得ながら、看護トップマネジャーへのインタビューのためのインタビューガイドを完成させた。 当学習プログラムの開発に向けて、上記1)2)で確認された情報に加え、プログラム実施上の課題と対応策、含めるべき内容(看護管理者が直面するマネジメントやリーダーシップ上の課題等)に関して、上記3)の実施を通じて、更に情報収集・整理を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、当初予定していた、医療現場で実施可能な戦略的学習プログラム案の作成には到達していない。また、研究実績の概要に記載したことに加え、全国の病院等を対象に看護トップマネジャー達のマネジメント経験に関する郵送調査を行う予定であったが、予算的・時間的制約および実施後の情報の活用等を再検討した結果、実施しないこととした。 しかしながら、管理者が自組織内で直面している課題を教材としながら管理者自身が相互に学びあう国際大学院プログラム(IMHL)について、現地に赴き、時間をかけて情報収集を行い、担当教員より文書により当該プログラムの特徴等について情報を得ることができた。これらの情報と、先行研究や看護管理者同士が実践を題材として学び合う取り組み事例から、開発を目指している戦略的学習プログラムに必要な要素・要因の検討に必要な情報を得ることができている。 看護トップマネジャー達へのマネジメント経験に関する個別インタビューについては、インタビューガイドの作成等の準備までは行えており、倫理審査委員会での承認を得た後に開始予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理審査委員会での承認を得た後に、予定している看護トップマネジャー達へのマネジメント経験に関する個別インタビューを行う。インタビュー結果と平成26年度に収集した情報をもとに、戦略的学習プログラムの案を作成し、試行・修正を行う。 本研究の推進においては、時間的あるいは予算的制約を考慮しながら、プログラム案の実施期間や対象数の縮小等により対応する。例えば、本研究の対象として、病院と訪問看護ステーションの看護管理者の両方を予定していたが、いずれかに対象を絞って研究を継続する。また、IMHL担当教授によるIMHLプログラムの紹介文書を日本の看護専門職へ紹介することにより、本研究で開発を目指している、実践を活用した学習法に関する考え方の普及に努める。
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Causes of Carryover |
平成26年度には、全国の病院等を対象に、看護トップマネジャー達のマネジメント経験に関する郵送調査を行う予定であったが、予算的・時間的制約および実施後の情報の活用等を再検討した結果、実施しないこととした。その代わり、既に、第5期生に対してプログラムを実施している国際大学院(IMHL)について、約2ヶ月かけて情報収集を行い、管理者が自組織内で直面している課題を教材としながら管理者自身が相互に学びあうプログラムの特徴等に関する情報を得た。海外での情報収集のための旅費や滞在費は研究代表者自身で支払い、本研究費は用いていない。理由は、配分額では不十分であったこと、本研究で開発を目指している戦略的学習プログラムの開発費用を確保しておく必要があったこと等による。 以上により、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、倫理審査委員会での承認が得られ次第、平成26年度に実施予定であった、看護トップマネジャー達へのマネジメント経験に関する個別インタビューを行う。平成27年度は、インタビュー結果と平成26年度に収集した情報等をもとに、戦略的学習プログラムの案を作成し、試行・修正を行う予定である。 インタビューやプログラム試行・修正のための関連費用や交通費、逐語録の作成やデータの整理・分析に要する費用、平成26年度に収集した情報に加えて更に本プログラム開発に有用な情報を収集するための費用等が発生する。そのため、平成27年度の配分額以上の費用が必要であると予測される。 また、平成27年度は本研究の最終年度であることから、国内の学会のみならず国際学会での発表や論文執筆等、研究成果の発信にも力を入れる必要があり、そのための費用が必要である。
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Research Products
(1 results)