2014 Fiscal Year Research-status Report
下肢慢性浮腫を有する高齢者へのケア支援機器のトランスレーショナルリサーチ
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26670919
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性浮腫 / 看護工学 / 高齢者 / MRI / 超音波診断装置 / 振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、加齢に伴う現象であり、緩和ケアの必要がない症状として放置されている高齢者の下肢に発症する慢性浮腫軽減を目指して、振動条件を決定後、臨床評価を行うことを目的にしている。平成26年度は振動の加振条件の決定と看護工学の手法を用いた慢性浮腫の非侵襲的・リアルタイム評価法を健康成人を対象として検討した。 健康成人5名を対象に加振器(47Hz-15分)の振動方向の違いが、加振後30分間の下腿大伏在静脈環流に及ぼす影響を超音波診断装置にて検討した。その結果、安静臥床のみ(対照)と比べ、加振すると静脈環流は増加することが明らかになった。その一方で、振動の方向(縦方向・横方向)による違いは認めなかった。以上から、臨床評価における加振器の配置は、対象の好み、またはその場の環境によって選択しても良いとした。 続いて、加振後前後の浮腫の軽減を示す超音波診断画像を用いて組織間液を評価する方法を、核磁気共鳴画像の緩和速度(R2)と比較することで明らかにした。R2はすでに身体の水分の客観的測定法として広く使用されている。下腿に浮腫がある健康女性13名を対象に行った。加振前後に超音波画像、核磁気共鳴画像を取得し、浮腫軽減状態と浮腫状態の値の変化を求め、その相関係数を求めた。その結果、超音波画像では、介入前後で皮下組織のエコー輝度の変化が観察され、エコー輝度48-144諧調の範囲のみで⊿R2と相関があった(r=-0.63 and p< 0.01)。以上から、臨床における皮下組織の組織間液評価を超音波診断画像のエコー輝度48-144諧調で行うことを可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書において、平成26年度は第1段階として、健康成人を対象として振動の加振条件の決定と看護工学の手法を用いた慢性浮腫の非侵襲的・リアルタイム評価法を行い、第2段階として下肢慢性浮腫を有する高齢者に決定した内容をもとに振動を負荷し、その決定内容の妥当性と安全性を評価する予定であった。第1段階は達成したが、第2段階の下肢慢性浮腫を有する高齢者選定に必要な実態調査に時間を要したため、第2段階を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述した第2段階の下肢慢性浮腫を有する高齢者選定に必要な実態調査を6月末までに完了する。その後、加振後の安全性が確認できた対象者に対し、加振を負荷する事前事後設定デザインの臨床研究を開始する(n=10)。事前事後設定結果および対象者のリクルート状況により、その後の臨床評価デザインをRCTからクロスオーバー試験に変更するか否かを考慮する。
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