2015 Fiscal Year Annual Research Report
下肢慢性浮腫を有する高齢者へのケア支援機器のトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
26670919
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性浮腫 / 高齢者 / 振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、加齢に伴う現象であり緩和ケアの必要がない症状として放置されている高齢者の下肢に発症する慢性浮腫軽減を目指して、振動の効果を臨床評価することを目的にしている。平成27年度は特別養護老人ホーム入居中の65歳以上の高齢者を対象として2つの調査を実施した。対象の適応基準は、下肢に2週間以上の持続した浮腫を有し、1日の起床から就寝までの時間のうち座位で過ごす時間が長い65歳以上の高齢者とした。 ①夜間を含めた変化の縦断的観察研究では、朝、夜、翌朝に浮腫の観察を行い、評価項目は下肢周囲径、圧痕の程度、皮下組織の組織間液貯留状態とした。各測定時点の評価項目の変化を検討した。夜間臥床による浮腫の程度変化に関して高齢者13名を対象とし調査した結果、下肢周囲径相対値は全測定部位において日中増加し夜間臥床により減少した。足背、足関節、下腿遠位では全測定で圧痕2+以上の浮腫がみられ、半数以上で皮下組織に組織間液貯留が観察された。 ②振動による浮腫軽減効果に関するランダム化比較試験では、介入群には振動周波数47Hz、水平振動加速度1.78m/s2、15分/回の加振を1日3回2週間継続した。その結果、振動による浮腫軽減効果に関して、介入群(7名)において浮腫の程度が対照群(7名)と比較して軽減した者は2名、不変の者は4名、増悪した者は1名であった。軽減した2名において対象特性に特徴は見られなかったが、他の5名と比べて介入開始前の浮腫の重症度が高いという特徴がみられた。 また、加振により活動性の向上や睡眠の改善が本人または施設職員から報告された高齢者もいた。以上から、下腿から足部にかけて皮下組織に組織間液の貯留があり圧痕性の明らかな浮腫がある高齢者においては、振動による浮腫軽減効果が得られやすい可能性があることが示唆された。
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