2014 Fiscal Year Research-status Report
一般住民の入院経験・闘病経験を生かした新SP参加型教育システムの構築
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26670932
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
栗林 好子 東京医療保健大学, 看護学部, 助教 (50614054)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 模擬患者 / SP参加型教育 / 看護教育 / 基礎看護学 / 基礎看護技術 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の計画は、①対象地域の住民への研究説明、②SPとして参加してくれる地域住民を募りSP候補を決定、③SP候補者よりシナリオ作成に必要な情報フォーマットの提出であった。 対象者には当初、平成26年度から本学で開始されるCOCの対象地域(野津原地区、富士見ヶ丘団地)の住民を考えていたが、COC実施の関係で富士見ヶ丘団地を除外し、野津原地区のみを対象とした。また、地域活動等に現時点で積極的に参加している高齢者の方が協力も得やすいと助言があり、対象住民を野津原地区の比較的活動の盛んな高齢者サロンに参加している高齢者に決定した。社会福祉協議会に協力を求め、紹介された6カ所のサロン(6か所で約100名の参加者あり)に研究協力を依頼し、その結果3カ所の高齢者サロンより研究同意が得られた。 同意の得られた3カ所のサロンの参加者56名に、個人宛の研究目的およびご協力のお願い、協力いただける方の参加の意思の有無を把握できるチラシを配布した。同時にその3か所の高齢者サロンに赴き、サロン参加者に対して本研究および大学でのSP参加型教育の説明を口頭で行った。この結果、SP候補として21名の方から研究同意が得られた。 次に、この21名の研究協力者へSPのシナリオ作成のために必要な家族背景や入院経験などの情報フォーマットの記入を依頼し提出していただいた。70~80代の高齢者が多く、情報フォーマットの記入が不十分な方が多かったため、個別にインタビューを行い不足情報の収集に努めシナリオ作成が可能か否かを検討した。この結果、SPとして14名を決定した。 当初の計画では、情報フォーマットをもとにシナリオを作成するのは平成27年度の計画だったが、SP参加型教育を行う平成27年度のコミュニケーション演習の実施時期がカリキュラムの変更により11月から6月に早まったため、26年度内にシナリオ作成は終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進行状況としては、新SP参加型教育を実施する大分県立看護科学大学のコミュニケーション演習の時期が、計画当初の時期より早まった(11月から6月に変更)ため、全体的に前倒しの形となり早く進んでいる。具体的には、SP候補者から提出していただいた情報フォーマットをもとにシナリオを作成するのは平成27年度の計画だったが、26年度内にシナリオ作成は終了した。また、協力いただく地域住民SPに行う演習説明は、10月予定だったが4月に終了した。 しかし、実際に市域住民の入院経験・闘病経験を参考にシナリオを作成してみて、比較年度のシナリオ内容とかなり差が生じることが明らかになっている。今回、地域住民の入院経験・闘病経験の情報として、入院時の不快や苦痛な経験をした対象者は比較的少なく、高齢者と言えど頻回に入院した経験も少ないため、シナリオとして用いるのに適当なエピソードが少なかった。また、2~3年前のことであるが記憶があいまいだったり、入院経験・闘病経験をした時期から経年しているため、よく覚えていないという状況も生じていた。結果的に、比較年度のシナリオでは、『入院初日の受け持ち患者に話を聞く』、『環境整備時の初対面の患者に話しかける』、『腰痛を訴える患者の話を聞く』、『イライラしている患者の話を聞く』、『不安を訴える患者の話を聞く』、『話の方向がずれる患者と話をする』、『学生に甘えてくる患者にリハビリを勧める』と、多彩なシナリオだったのに対し、今年度は、『入院初日の受け持ち患者に話を聞く』、『環境整備時の初対面の患者に話しかける』、『抗がん剤副作用の不安を訴える患者の話を聞く』のみとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域住民SPの参加による新SP参加型教育を実践する。専門機関のSPと違い地域住民SPは、SPとしての専門的教育を受けていないため、初めて経験するSP参加型教育の不安や戸惑いが予想される。そのため、ロールプレイやフィードバックなどがスムーズに進むように、SP参加型教育の経験がある教員をファシリテーターとして配置する予定である。 新SP参加型教育終了後は、SPへのインタビューと学生の授業前後アンケートの分析を行い、新SP参加型教育システムの有効性と限界を検討する。
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Causes of Carryover |
早い時期に航空券を予約し割引を受けたたため、請求した助成金額を下回った。また、急遽、連携研究者である大分県立看護科学大学の教員との打ち合わせが生じたが、満席で航空券の入手が出来ず、搭乗マイルの特典航空券(区間限定の無料航空券)を使用したため、助成金を使用しなかった。 初年度末の申請が遅れ、次年度の助成金支払いになってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度末に申請が遅れた分の助成金支払いに使用する。また、SP参加型教育の構築にむけて参考になる研究会(2か月に1度大阪開催『協同学習を用いた看護教育研究会』)の参加費用にする。
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