2014 Fiscal Year Research-status Report
慢性疾患患者を対象としたストレス対処力向上プログラムの構築
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26670936
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 准教授 (20509525)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ストレス対処力 / 慢性疾患患者 / sense of coherence / sense of mastery |
Outline of Annual Research Achievements |
大きく3点の成果を得た。 第1に研究ネットワークづくりに関する点である。他大学における当該研究に関心をもつ研究者との知己を得、また、打ち合わせを通じて、今年度の研究実施につながる下地作りを行った。 第2に関連学会への参加及び情報収集を通じて最新の研究状況について把握し研究の意義および方向性についての照準を合わせるに至った。特に心理学系学会の参加を通じて、心理介入プログラム開発に関する実情や、sense of coherenceに関する研究実績、あるいは他の類維持概念の研究状況について把握することができた。また、慢性疾患患者におけるストレス対処の現状について、関連する看護系、公衆衛生系学会より情報収集に努めた。 第3に、ストレス対処力概念としてsense of coherenceの類似概念として有力でかつ、先行研究が多く行われているsense of masteryの日本語版の開発に資する研究の実施である。頑健であり、sense of coherenceよりも、個人内の能力的な側面が強いとされている概念であり、日本語版については検討されてこなかった。この尺度について、原版作成者であるPearlin LI氏に許可を得、今後の介入研究における使用可能性も視野に入れて、開発研究を行った。その結果、因子妥当性は確認され、α係数は.69であった。SOC-13との相関係数は、.62、メンタルヘルスインベントリーとの相関は.44であった。日本語版として使用可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究ネットワーク構築、および基礎的情報収集、基礎的評価項目の検討の三点について進めることができ、当初の目標を達成することができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
国際学会における研究状況に関する情報収集とネットワークづくり、慢性疾患患者のストレス状況に関する情報収集、慢性疾患患者を対象としたニーズ調査、形成的評価の実施が目標となる。 国際学会については、European Health Psychology Associationの年次大会に参加し、関連研究の報告とともに、心理介入に関する研究の国際的動向について把握することを目標とする。 慢性疾患患者のストレス状況に関する情報収集としては、HIV陽性者も含めた関連団体やステークホルダー、当事者からのヒアリングを通じて把握していく。 慢性疾患患者を対象としたニーズ調査としては、フィールドの探索を行うと同時に調査項目の整備、調査票作成を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初参加の予定であったEuropean Health Psychology Associationの年次大会に本務の関係上参加できなかったために繰越が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度のEuropean Health Psychology Associationの年次大会への参加をするために使用する計画である。
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