2015 Fiscal Year Research-status Report
放射線皮膚炎の経時的定量評価によるアセスメントツールの開発
Project/Area Number |
26670951
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野戸 結花 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (80250629)
井瀧 千恵子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00285008)
三上 佳澄 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (40709143)
真里谷 靖 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (20239148)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射線療法 / 皮膚炎 / 乳がん / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、放射線療法を受ける乳がん術後患者を対象に照射前から照射後の皮膚の経時的変化を調査し、今年度は照射後2年までの変化を明らかにするとともに各対象者の特徴について分析した。 評価指標は、サーモグラム画像および皮膚表面温度、水分量、メラニン、紅斑値である。 結果、照射側の経時的変化については,水分量は照射開始前に比べ,治療中,終了時,照射後1,3,6ヶ月のすべての時点で有意に低下した。メラニン値は,開始前との比較で照射後1、3、6ヶ月で有意に上昇した。一方、紅斑値は開始前との比較で、照射中、終了時で有意に上昇し、終了時との比較で、照射後1、3、6ヶ月に有意に低下した。水分量は表面温および紅斑値と弱い負の相関があり,メラニンと紅斑値においては弱い正の相関がみられた。サーモグラム画像から、照射終了後1ヶ月目には照射部位の発赤は軽減して茶色く変化し、色素沈着がみられるようになった。色素沈着は8~9ヶ月目も継続してみられ,10~11ヶ月目にはごくわずかにみられる程度となった。13~14ヶ月目の照射側の皮膚表面温度は非照射側よりも有意に高く(p<0.05),15ヶ月目以降は有意差がなかった。 視覚的に紅斑が軽減していても値は開始前より高値を示すことから、継続してスキンケアするよう説明する必要があると言える。また、これらのデータから,皮膚状態の変化は複合的に起こっていると予測され、自覚症状以外の皮膚状態も詳細に観察することの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射線療法を受ける患者を対象に、照射前から照射後の皮膚の経時的変化を調査し、今年度は照射後2年までの変化を調査するとともに各対象者の特徴について分析することができた。今年度は、主観的データ・客観的データの比較検討を最終目標としており、各指標の相関関係および照射時期による違い等を明らかにすることができたため、おおむね順調に進展している、と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
主観的・客観的データの比較を行うなかで、照射中の皮膚炎の状態による照射後の皮膚変化についても違いがみられる傾向があったため、対象者の皮膚状態による違いをさらに分析した後、新たな皮膚炎評価ツール開発を検討する。その後、そのツールの有用性を放射線療法看護に携わる医療職者を対象に調査して評価したいと考えている。
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Causes of Carryover |
引き続きデータ分析が必要になったこと、および論文による成果報告の準備のために次年度使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に収集したデータを引き続き分析して、新たな皮膚炎評価ツールを作成する。また、そのツールについて放射線療法を受ける方と関わる医療職者の意見を聴取し、ツールの評価を行う。また、それらの結果を論文として成果報告する。
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