2014 Fiscal Year Research-status Report
我が国における糖尿病患者に適したクアオルト(健康保養地)の探索
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26670953
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡 美智代 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (10312729)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クアオルト / テラインクア(地形療法) / バルネオセラピー(温泉療法) / 糖尿病患者 / 糖尿病性腎症患者 / 運動療法 / 自然活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度の目的は、1.クアオルトのなかでもテラインクア(地形療法)とバルネオテラピ(温泉療法)の条件と2.糖尿病患者に対する適切な運動療法の明確化であった。 目的1:テラインクアの条件は、文献を元に専門家に相談することで明らかにすることができた。その際、糖尿病患者におけるテラインクアの条件として、緊急車両の乗り入れができることを考え「至便であること」を、「アスファルトやコンクリート舗装でないこと」よりも必要条件の優先順位を上位とした。 バルネオテラピの参考施設である、富山市角川介護予防センターとイギリスBathを訪問して、Thermae Bath Spaに行き、両施設担当者から説明を受けた。特に角川介護予防センターの利用条件は、要支援1、2の認定を受けた人であるが、利用者が大変元気であった。温泉水による運動が介護予防に役立つことを時間した。また、イギリスCothswoldsのBourton on the WaterとBiburyのフットパスを体験した。テラインクアとは若干異なるが、イギリスにおける野外での歩行運動と地域保全の融合を確認した。 目的2:糖尿病患者と更に糖尿病性腎症患者における、運動療法の適応や禁忌、ならびに評価内容を明らかにした。しかし、一般的な内容であるため、今後はクアオルトに特化した条件を検討する必要がある。また、運動の心理的評価である運動の楽しさ尺度を文献から確認することができた。しかし、本尺度は高校生以下が対象であるため、今後、患者向けの運動の楽しさ(愉楽)を測る尺度開発が必要である。 群馬県内2カ所のテラインクア適地候補において、健常者4名で歩行運動を行った。運動の楽しさ尺度で測定した評価では、運動後3名の運動の楽しさが向上した。また、すべてのテラインクア条件を満たすところは無かったが、運動強度別に条件を分けて考えることが必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1 クアオルトの中のテラインクアとバルネオテラピーの条件の明確化について:テラインクアの条件は、文献を元に専門家に相談することで明らかにすることができた。テラインクアとは若干異なるが、野外での歩行運動についてイギリスのフットパスを体験することができた。この体験から、テラインクアについて検討するときに、野外での運動の条件を検討する際の参考にすることが出来る。前述のテラインクア条件を元に、群馬県内2カ所のテラインクア適地候補において、健常者とともに歩行運動を行うことも出来て、今後の課題も明確になった。 バルネオセラピーの条件は文献的には情報が乏しく、明確にすることはできなかった。しかし、H27年度に訪問予定のバルネオテラピーの参考施設である、富山市角川介護予防センターにH26年度に訪問することができた。そこの施設構造やアセスメント内容、さらには運動計画などを、今後バルネオセラピーを考える上での参考にすることができると思われる。以上のことから、目的1は達成できたと言える。 目的2 糖尿病患者に対する適切な運動療法の明確化:糖尿病患者だけでなく、糖尿病性腎症患者についても、運動療法の適応や禁忌、ならびに評価内容を明らかにすることができた。運動の心理的評価である運動の楽しさ尺度があることがわかり、さらにそれを試用することもできた。以上のことから目的2も達成できたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究目的】 H26年度の研究を通して、以下の課題が明らかになった。1.テラインクアとバルネオテラピーの適地候補の、より具体的な条件の明確化。例えば、テラインクアでは、「静かなところ」で実施することになっているが、「静かなところ」とは、何デシベルを指すのかなど不明な点が多い。2.糖尿病患者と糖尿病性腎症患者の運動療法の適応と禁忌については明確になったが、テラインクアとバルネオテラピーに特化した適応と禁忌は不明である。そのため、テラインクアとバルネオテラピーに特化した、糖尿病患者と糖尿病性腎症患者の運動療法の適応と禁忌を明らかにすることが必要である。さらに、元々のH27年度の研究目的は、3.我が国のクアオルトの適地候補を訪問して、4.その場所の糖尿病患者への適否と整備項目を明らかにすることである。 そこで、H27年度の研究目的は、上述の4点とする。 【研究方法】 目的1について:小関信行著「クアオルト入門」に、クアオルトの詳細な定義などが記載されていることがわかった。そのため、H27年度は、これらの著書を参考に目的1を達成する。目的2について:クアオルトに特化した、糖尿病患者と糖尿病性腎症患者の運動療法の適応と禁忌について記述してある文献が少ないため、専門家に相談する。目的3について:上述の小関信行氏が山形県上山市でクアオルトを展開しているらしいので、当地を訪問する。目的4について:1~3を実施した結果をまとめることで、目的4を達成する。
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Causes of Carryover |
購入金額の変更があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品購入に充てる。
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Research Products
(3 results)