2014 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸がん検診の継続受診を目指す統合的リスクコミュニケ―ションツールの開発
Project/Area Number |
26670961
|
Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
野村 美香 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (80276659)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 英子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (10457880)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | がん看護 / がん検診 / 保健行動 / リスクコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、子宮頸がんに焦点化して、がん医療の当事者が体験に基づくナラティブと、科学的根拠を統合したリスクコミュニケーションツールを開発する研究の初年度にあたり、子宮がん検診の受診行動に関連する要因分析と、子宮頸がん当事者の体験を聴取する調査の基盤構築を目的とした。 基盤構築の第一段階として、関連文献の精査と、資料収集をした結果、子宮頸がん検診の受診率は30%代を推移し、再受診率については、依然として向上していないことがわかった。本研究の基礎となる枠組みを検討するにあたり、エコロジカルアプローチを基盤として文献検討を行い分類した結果、再受診に影響を及ぼすと想定される因子は、個人レベルにおいては、子宮頸がんに対するリスクの捉え方、受診時の体験、受診の利便性があげられた。対人レベルにおいては、受診時の体験のみがあげられ、対人的な関係性から再受診を促進することは見いだされなかった。環境レベルでみると、行政の施策や医療機関の配備などがあげられた。 これらの要因について、パイロット的に子宮がん体験者のナラティブとの比較したところ、矛盾するところはなかった。子宮がん体験者のナラティブを調査する過程において、がん体験者が、がん検診啓発に関わることの意義を確認することができた。しかし、対象の中に、検診をおざなりにした結果が子宮がんの罹患を招いたと体験を意味づけている場合、体験を語り、他者の健康増進に役立てることに対する心理的な脆弱性が存在していることが明らかになった。 これらの結果を基盤に、本調査を行い、対人レベルに位置づけられるリスクコミュニケーションツールの開発、介入のためのマニュアル作成に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた関連文献の精査は終了しており、本研究のテーマとなる子宮頸がん検診の受診状況などの実態、科学的根拠の検討を終え、平成27年度実施予定の内容に着するに至った。予定していた調査は、一部次年度に繰り越したものの、年度末までに、データ収集着手の目途を立てることができたため、概ね計画通りの進捗であると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた結果をもとに、科学的根拠とがん体験者のナラティブを統合したリスクコミュニケーションツールを作成し、介入のためのプロトコールを完成させる。 平成27年度に使用する予定の助成金については、平成26年度から着手した調査において、対象者確保に時間を要した関係で生じたが、平成26年度中に目途がたち、パイロット調査の段階に至ったため、平成27年度に請求する研究費とあわせて、一部繰り越した面接調査、質問紙調査を完結させる。このことにより、平成27年度の目標であるコミュニケーションツールの完成ならびに介入プロトコールの洗練にも直接役立てることができるので、当初計画通りに平成27年度計画を進行させることができる。
|
Causes of Carryover |
平成26年度に使用差額が生じた理由は、必要となった文献等の入手に関して、付置施設所有の資料で得られるものがあったことと、計画した調査において、対象者確保と面接調査日程の調整に時間を要したため、平成26年度は、本調査の精度をあげるための準備として、質問紙の洗練や面接調査項目の洗練に活動を集中させたことによる。したがって、物品費並びに人件費において、使用額に差が生じた。しかし、平成26年度末に、当初予定の本調査の準備を整えることができたので、研究計画に大きな変更は生じなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度末に準備を整えた調査については、データ収集から分析、結果のまとめに至る一連の過程を遅くとも、平成27年10月を目途に終了させる。平成27年度は、平成26年度から当初計画に先んじて着手したツールと介入プロトコールの作成に、調査結果を直接活用して洗練することを同時並行で行うため、平成27年度に請求する研究費とあわせ、申請時の研究計画を実施することができる。
|