2014 Fiscal Year Research-status Report
閉塞性動脈硬化症の下肢血行再建術後の新しいリハビリ看護ケアプログラムの開発
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26670964
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 哲也 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (00461179)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 閉塞性動脈硬化症 / 下肢血行再建術後 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する下肢血行再建術後患者の入院中の身体活動量と、立位や歩行開始時期、退院時の最大歩行距離(MWD)、WIQ(Walking Impairment Questionnaire)、自己効力感などとの関連性を検討することである。本研究は国内2病院の協力を得て行っているが、下肢血行再建術は従来から自家静脈を用いたバイパス手術が主流であったが、近年のカテーテル治療の進歩により、現在では血管内治療(PTA)がそのほとんどを占めている。そのため、本研究においても、主たる下肢血行再建術後患者はPTA後症例とした。下肢血行再建術後は、主治医よりリハビリテーション開始の指示を受けてから離床を開始。手術後に重篤な合併症(過度な出血、動脈閉塞、感染、リンパ瘻、不安定な循環動態)や、耐え難い痛みなどの自覚症状がなければ、端座位、立位、歩行へと徐々にADLを拡大していくプロトコルを採用している。病棟内歩行自立までの期間を確認し、入院中の身体活動量を3軸加速度センサーを用いて手術前より終日(手術中は除く)、退院まで継続的に測定した。身体活動量については特に増減させるような指示は行わず、通常の病棟生活を行わせた。退院前には最大歩行距離(Maximal Walking Distance, MWD)、WIQ(Walking Impairment Questionnaire) を評価した。また、不安や抑うつについてはHospital Anxiety and Depression Scale (HADS)にて評価し、身体活動に対する自己効力感はSelf-Efficacy for Physical Activity (SEPA)にて評価した。現在まで35例の登録を修了し、フォローアップが進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最近、カテーテルなど医療材料の進歩により、血管内治療成績が向上してきたことから、下肢血行再建術は、血栓内膜摘除術(thrombo endarterectomy;TEA)やバイパス術から、血管内治療に大きく変化している。血管内治療は経皮的に動脈内に治療用カテーテルを挿入し、血管の狭窄および閉塞部を拡げる治療で、経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty;PTA)と呼ばれ一般化してきた。その反面、バイパス手術は極少数しか行われなくなった。そのため、当初下肢血行再建術はバイパス術後と計画していたが、主たる対象者をPTA患者に変更して、ASO血行再建術後患者の入院期間中の身体活動量や退院後の身体活動量が、退院後の再入院や心血管イベントの発生などの予後に与える影響について調査を行うようにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
経皮的血管形成術(PTA)後患者の登録数を増やしていく。平成27年度は新たに春日部中央総合病院を研究協力施設に追加して、症例を増やして行く計画が進んでいる。特に平成27年度は、患者のフォローアップが増加していくことから、追跡に慎重を期すことで、退院後の身体活動量が、退院後グラフト閉塞や心血管イベントの発生などの予後に与える影響について明らかにすることに加えて、良好な長期予後を得るための、退院後の身体活動量の目標値を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
前述したとおり、近年、ASOの下肢血行再建術の主流はバイパス手術から経皮的血管形成術(PTA)に大きく変化した。そのため、当初主たる対象者をバイパス術後と計画していたが、PTA患者に変更した。この変更により、予定していた研究協力施設を変更したことが、倫理審査や症例登録の遅れにつながり研究進捗が遅れ、謝金や研究結果報告のための旅費に残額が生じ、次年度使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は新たに春日部中央総合病院を研究協力施設に追加して、PTA後患者の登録数を増やしていくことから、平成26年度未使用額は、追加された協力施設に対するフォローアップのための郵便費用や研究補助者に対する謝金が追加される見込みである。さらに、登録患者数を増加させ研究結果報告についても積極的に行うこととする。
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