2015 Fiscal Year Research-status Report
分娩進行を診断する非侵襲的観察によるアセスメント・ツールの開発
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26670979
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
渡邉 竹美 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (90279919)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 助産師 / 分娩進行 / アセスメント / 経験知 / 助産モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,助産師が分娩進行を判断・予測している経験知をもとに作成した観察項目を用いて分娩進行を観察し,経験知を実証・可視化し,得られたデータを分析し,経験知をベースにした分娩進行を予測するアセスメント・ツールを開発することである. 経産婦(条件は,単胎,頭位,正期産,経腟分娩予定,日本人女性)を対象に236名のデータを得た.内訳は,自然経過137名(58.1%),微弱陣痛による陣痛促進19名(8.1%),陣痛誘発80名(33.9%)であった. 自然経過・自然分娩131名(55.5%)は,陣痛開始99名(75.6%),前期破水20名(15.3%),前駆陣痛と誘発予定は各6名(4.6%)であった.初回内診所見の最頻値は,開大5cm 22.9%,展退80% 35.1%,下降度-3 67.9%,内診回数の最頻値は3回(29.8%)であった.19項目の観察頻度は,「粘稠性で量が多い血性分泌物」が最も少なく46件(35.1%),「いきみや努責が入る」130件(99.2%)であった.19項目,開大3~10cm,下降度-3~+3までの平均値,95%信頼区間が算出できた.分娩進行度と陣痛周期の平均値と95%信頼区間を用いて,先行研究の経験知と比較した.「発作時に全身に力が入る」「粘稠性で量が多い血性分泌物」を除いた17項目は経験知と一致していた.分娩進行度と陣痛周期の両者について,観察項目と開大・下降度のSpearmanの順位相関係数を算出した(ρ≧.40を相関あり,有意水準.05).分娩進行度では,開大と下降度の両者とも相関を認めなかったのは「腰部痛」1項目,開大18項目,下降度11項目は相関を認めた.開大6cm(分娩進行度0.60)以降で5~14項目,下降度-1(分娩進行度0.83)以降で2~8項目と相関した.陣痛周期では,下降度のみ「血性分泌物が出始める」1項目で相関を認めなかった.開大4cm(陣痛周期352秒以内)になると5項目以上,下降度-3~+3(陣痛周期312秒以内)になり,陣痛周期が短縮すると,いずれの下降度でも4項目以上が相関していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルサイズは,区間推定に基づく方法を用いて100件とした.自然経過で自然分娩となった131名の95%信頼区間のデータを用いて,サンプルサイズを再算出したところ,各観察項目のデータ数が21以上で解析可能となった.そのため,誘発分娩で自然分娩となった77名のデータを用いて,誘発事例についても同様に分析し,経験知の実証と可視化を試みた.その結果,自然経過・自然分娩と誘発経過・自然分娩のアセスメント・ツールが作成できた. データ収集期間が,予定より長期化したため,研究期間を1年延長した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では,助産学生に助産実習中に作成したアセスメント・ツールを使用してもらう予定であった.しかし,分娩進行中の使用は困難と判断し,助産実習で記述した記録を使用し,アセスメント・ツールの精度検証を行うこととした.また,研究協力施設の助産師には,アセスメント・ツールを使用してデータ収集を依頼する予定である. アセスメント・ツールは,①初産婦および経産婦の自然経過・自然分娩,②初産婦および経産婦の誘発経過・自然分娩,の4種類作成した.これらをFriedman曲線と対比し,助産師の経験知をbaseに作成した観察項目から得られた分析データをもとに,分娩進行を図式化した成果報告を行う.
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Causes of Carryover |
平成26年度のデータ収集期間が延長したため,平成27年度は引き続きデータ収集を継続し,分析を行った.分析結果をもとに,分娩進行を判断・予測するためのアセスメント・ツールを4種作成した.作成したアセスメント・ツールの精度検証は次年度に実施予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
作成したアセスメント・ツールの精度検証を行う予定である.検証は,①助産学生の分娩記録からのデータ収集を40事例,②研究協力施設で助産師によるデータ収集を60事例予定している.助産学生と助産師に対する謝礼,データ分析のためのソフトの購入,成果報告のための旅費,参加費,論文投稿のための経費を使用予定である.
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Remarks |
山梨大学医学部看護学科 成育看護学講座 教員・研究紹介 http://kango.yamanashi.ac.jp/seiiku/staff
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Research Products
(4 results)