2015 Fiscal Year Research-status Report
周産期の死を経験した母親・家族を社会全体で支えるシステムの実現可能性の検討
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26670985
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
米田 昌代 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (80326082)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 周産期 / グリーフケア / 死産 / 新生児死亡 / 連携システム / デルファイ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は周産期の死(死産・新生児死亡)を経験した母親・家族を社会全体で支える地域連携システムモデル案の有用性(妥当性)を検討することである。今年度(平成27年度)は①モデル案に対する意見を集約するために昨年度、石川県を中心に医療施設・行政・自助グループの代表の方をパネリストとし実施した2回のデルファイ調査の結果を分析し、英文で論文化すること、②県こころの健康センターの担当者と赤ちゃんの死に多く関わっている葬儀社の方を対象とした連携に対する意見のインタビューの実施である。 デルファイ調査の結果は以下の通りである。意見の同意率は51%以上に設定し、51~69.9%を低い、70~79.9%を中等度、80%以上を高い同意率とした。第1回調査82名、第2回調査65名から返信があり、中等度(70%)以上の同意率を得たものは19項目中17項目(89.4%)であり、概ねモデル試案が妥当であることが示唆された。特に医療施設が核になって実施するグリーフケアと退院後の連携(退院後のグリーフケア担当者の決定と関係機関との連絡調整、行政へ周産期の死の連絡、退院後の電話訪問・面談、自助グループとの交流)は高い同意率(80%以上)が得られた。今後は医療施設を核として、フリーコメントに書かれていた意見を加味し、3者の連携を高めていくことによって、より一層モデル試案の妥当性を高めることができ、導入に近づけていくことができると考えられる。以上の結果は論文投稿中である。インタビュー結果はモデル案に直結するようなものは得られなかったため、最終年度は計画の後回しになっている諸外国の情報収集と臨床心理士、僧侶等も加え、インタビューを実施し、より検討を重ねてモデル案の実現に近づけていきたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文化までこぎつけることができたので、おおむね順調に進展しているといえる。 しかし、初年度予定していた欧米のシステムを現地で情報収集する計画は実施できていない。国内での諸外国のグリーフケアに関する情報収集では、モデルとできる国が文化・制度の違いからうまくみつからなかったことも要因である。今年度は今回のデルファイ調査の結果をふまえ、医療施設を中心に退院後のグリーフケアが展開している米国を参考に、視察先を考えていき、計画の後回しになっている諸外国の情報収集と臨床心理士、僧侶等に対するインタビューを実施できれば、順序性の変更はあったが、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
論文掲載が決定したら、次の段階として、インタビュー計画を進めていき、モデル案に対する意見を具体化し、実現に近づけていきたいと考える。 視察先の決定と日程調整、手配を迅速に進める。研究結果の海外での発表も視野に入れているため、可能であれば、学会発表と視察をからめて効率的に計画していくこととする。
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Causes of Carryover |
先にも述べたように、初年度に計画していた海外での情報収集費用が未使用であるのとインタビューに関わる費用が未使用である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の計画としては、論文翻訳費、論文投稿費、インタビュー調査のための旅費、逐語録作成のための業者委託費、学会発表と情報収集ができる海外渡航先を決定し、情報収集に関わる費用、学会参加費、ポスター作成費(翻訳・印刷)、通訳費、旅費、国内のグリーフケアに関わる研修費に使用したいと考えている。
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