2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の起立時血圧低下の実態と「起立前看護オノマトペ法」の開発
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26671002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 ひとみ 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80173847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 久子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10241811)
岡本 紀子 筑波大学, 医学医療系, 助教 (40624664)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 起立時血圧変動 / 高齢者 / オノマトペ / 自律神経機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
在宅高齢者を対象に、起立時の血圧変動に関するアンケート調査と実験およびバランスに関連する体力評価行い実態を把握した。これらの調査および実験については、筑波大学の医の倫理委員会の承認を受けて行った(課題番号:721-3)。 対象者は茨城県と沖縄県の65歳以上高齢者106人であった。平均年齢は73.5歳(SD5.3)であり、男性38人、女性68人であった。除外基準として、精神安定剤、睡眠薬の服用、高血圧や自律神経系の疾患の保有、立ち上がり動作に苦痛を伴うなどを設けた。アンケートの結果から、高齢者は日常的に起立時にはかけ声をかける場合は習慣化されていると考えられ、男性よりも女性がかけ声をかけていた。また、起立時のかけ声とふらつきとの関連性が見出されたが、因果関係があきらかにできなかった。具体的には、起立時にふらつきやすいのでかけ声をかけているのか。かけ声をかけるからふらついたのかなどを精査する必要性が示唆された。起立とかけ声との関係を明らかにする実験ではアンケートの結果を踏まえ、非観血的連続血圧計(MUB101;Medicus社製)と自律神経系の測定には、メモリー心拍計(LRR-03;アームエレクトロニクス社製)を用いた。起立時のかけ声の危険性も含めて安全性に配慮し実施した。その結果、高齢者の起立後の血圧低下量は、起立前のかけ声(収縮期血圧SBP35.6㎜Hg(SD:12.7)において、起立時のかけ声(SBP43.3㎜Hg(SD:20.1)よりも有意に抑制された。また血圧回復時間は起立前のかけ声において短縮され、かけ声の有用性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
在宅高齢者に関しては、起立時のかけ声と血圧変動についてのデータは集積されつつある。体力評価については、分析途中である。また、各年代別の比較については次年度に実施する準備を整え、調査地や対象者との連絡は完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
各年代別の比較を行い解析を完了させる。 起立時の血圧下降群から安全性を確保し、介入可能な対象者を65歳から90歳以上まで4群に分け120名を目標に選定し、アンケート調査、転倒に関連する体力評価と起立時の血圧測定(非観血的連続血圧計)を行う。以上のデータから起立時の血圧変動に関連する要因を特定し、かけ声の有用性について検討する。
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Causes of Carryover |
本研究が国際学会において注目され、次年度にはGeriatrics,Gerontology congressに招待されることになった。そのためにこの学会参加を契機に、国内外でのデータを蓄積し、さらに学会への参加回数等を増やす予定である。 研究費の効率的な執行に努めたことにより、人件費・謝金および旅費が予定より少なくなった。具体的には、調査地や成果発表の場として遠方ではなく大学の近隣地区において行ったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析のための事務補助費と旅費(成果発表)として使用する。
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