2014 Fiscal Year Research-status Report
トイレ便座で排泄有無と排泄量を検出するセンサ開発への挑戦
Project/Area Number |
26671008
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中島 一樹 富山大学, 理工学研究部(工学), 教授 (50207776)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 排尿量 / 非接触測定 / 認知症高齢者 / 便座 / トイレ |
Outline of Annual Research Achievements |
介護度の高い施設利用者が増加する中、いかにして安全で安楽な介護技術を提供するかが重要な課題である。その解決にはケアスタッフの介護技術力の向上と共に介助機器の活用も選択肢の1つであり、スタッフと利用者双方にとって利便性の高い介助機器の開発が必要である。これまでの研究で、認知症高齢者を介助するケアスタッフは、「排泄介助」に困難感を持っていることを明らかにした。排泄はヒトとしての尊厳を保つ意味でも、安易におむつ対応を行うべきでなく、トイレ誘導が極めて重要である。しかし、認知症高齢者が単独でトイレから出てきた場合、本人からの聞き取りだけでは排泄の有無、そして排泄量を把握することは困難である。本研究では、便座に取り付けるだけの簡便なセンサで、排泄の有無および排泄回数の多い排尿量の定量評価を挑戦的に試みる。 測定原理は以下である。体内から排泄された直後の尿は、ほぼ中枢温を保っている。この排尿からの熱を全て測定することで、排尿量の定量評価を試みる。まずは基礎実験として、37度の水を流量と流速を変化させて測定した。これを非接触温度計で測定し、水落下前の温度(室温)と水落下中の温度差を信号処理することで、流量との線形関係を得ることに成功した。これらの研究成果の一部を学会や展示会などで発表した。国際会議IBEC2014ではポスター発表した研究成果が、学生賞として表彰された。さらに基礎研究の成果をまとめ、特許出願を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
排尿を模擬したモデル実験は【研究実績の概要】にも記述したように、順調に研究が進んでいる。ただし、実際の排尿の測定に関して遅れが少しだけ生じている。研究開発実施計画書では複数の温度センサを取りつけて、サーモカメラを用いる場合と同等の性能を実現させることを予定していた。研究開発実施計画書にも記載したが、排泄に関しては研究が後回しになっており、排尿がどのように落下するのか、ほとんど文献や特許などから得られる情報がなく、どこにセンサを取りつけるべきか見当もつかず、研究にわずかな遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
各方面からの情報収集を試みた結果、平成27年1月末になってある衛生陶器メーカから排尿がどのように落下するのかに関する詳細なデータを入手した。この情報で複数の温度センサの取りつけ位置を決定できる。そして、まずは37度の水を流量と流速を変化させて測定し、測定精度の向上を図る。さらに実際の排尿を測定し、定量評価を行う。さらに、臭いセンサを追加することで排便や放屁も分離検出できるようにする。
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Causes of Carryover |
研究開発実施計画書にも記載したが、排泄に関しては研究が後回しになっており、排尿がどのように落下するのかほとんど文献や特許などから得られる情報がなかった。そのためセンサの取りつけ位置の決定ができず、調査に多大な時間が必要となり未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各方面からの情報収集を試みた結果、平成27年1月末になってある衛生陶器メーカから排尿がどのように落下するのかに関する詳細なデータを入手した。この情報でセンサ取りつけ位置を決定できるので、複数の温度センサおよび臭いセンサの開発のための消耗品費、これら成果の発表を積極的に行うための旅費、また論文発表や英文校正の費用などに使用する予定である。
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Research Products
(4 results)