2014 Fiscal Year Research-status Report
気象の変化と生命徴候・自律神経活動に着目した新たな在宅高齢者への疾病予防対策
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26671011
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
多留 ちえみ 神戸大学, 保健学研究科, 研究員 (90514050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 英之 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00294231)
齊藤 奈緒 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20403298)
傳 秋光 神戸大学, 保健学研究科, 名誉教授 (40143945)
宮脇 郁子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (80209957)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気象の変化 / 自律神経活動 / 睡眠パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の寒暖差は大きく異常気象と言われる現象が増加している。そして、我々は快適な環境を確保するために空調設備を使用している。しかし、常に快適環境に身を置くことは不可能であり、温度、湿度、気圧といった気象の変化に絶えずさらされながら生活している。 筆者らは、在宅療養中の高齢者が気象の変化に伴いさまざまな病態の変化を同時に繰り返すことに着目した。特に、心筋梗塞や脳梗塞の発症は、季節との関連が指摘されており、発症によって高齢者とその家族の生活は一変する。高齢者が日常生活動作を維持し、少ない介護で天寿を全うするためには、身体と気象暴露との関連を検討し、季節病への対策が必要となる。 動物実験では気象暴露によって自律神経活動が亢進することが指摘されている。しかし、自律神経活動とは、循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、代謝など、生命の中枢をつかさどっている。また、太陽系や宇宙などの自然エネルギーによる日内変動があるとの報告もあり、気象暴露環境と生態との関連に関する研究は不十分である。加えて、人間は考える動物であり、ストレスによる調整は不可能である。我々が生体リズムを調整するためには睡眠時間および睡眠の質の重要性が示されており、睡眠の良否は、糖代謝および血圧調整、うつ病の発症に関与しており重要な生活の一部である。 そこで、自律神経活動への交絡因子を排除するために、毎日同じ環境で生活している睡眠状況に焦点をあて、通常の生活を営む一般成人を対象に「気象の変化と生命徴候・自律神経活動に着目した疾病予防対策に関する基礎的研究」を計画し、調査を実施している。 本研究の目的:①睡眠中の気象及び室内の暴露環境と各個人の自律神経活動を縦断的に分析し、対象者個々の特徴を明らかにする。②睡眠中の気象環境と自律神経活動について横断的に分析し、気象と自律神経活動の特徴を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交絡因子が多い自律神経活動と気象暴露および気象の変化との関連を検討するための研究方法について検討し、まずは基礎的研究という位置づけで研究をスタートすることを決定した。また、測定機器が高価であるため測定機器の購入が困難であり、多くの機器類のデモ機を筆者が使用し、対象者への負担が少ないもの、データの入手が簡易にできること、可能な限り機器購入台数を確保することなどを考慮し、機器の選定を行うことに時間を要した。気象センサーについては我が国の気象データを管理する研究所がデータの信頼性と価格から推薦する機器を選定した。同時に研究計画を立案し、H25年11月に所属施設の保健学倫理員会の承認を得た。同12月末より調査を実施している。現在、37名の対象者から研究趣旨の理解が得られ、文書による同意を得た。購入できた機器をフル稼働しながら、調査を実施、情報収集を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
萌芽研究であるため、昨年度においては研究準備に当て、研究成果の発表には至っていない。今年度は、調査を実施し、より多くのデータを収集することに努めたい。なお、得られたデータを分析し明らかとなった事実を、順次、日本生気象学会、日本循環器学会、日本循環器看護学会、日本心不全学会などの学会で発表できるよう務める。
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Causes of Carryover |
昨年度予算には、その他(委託費)として気象データ提供費等の費用を計上していたが、データ提供を必要としない気象センサーを購入したため、気象センサーによる物品費が増えたが、今年度の委託費を支払う必要がなくなった。調査実施にあたって、機器類の不足があり、今年度も可能な限り機器を購入したいと考える。また、現在、Bluetoothによるインターネットを使用した機器を使用しているが、より多くの方に研究協力を得るためには、内蔵メモリにデータを蓄積できる機器が必要である。それらの機器とソフトの購入および必要文具等として物品費を多くした。その他、研究協力者への謝礼および学会発表および気象に関する新たな知見を入手するための旅費等の費用を計上した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ウェアラブル心拍センサ WHS-1 @83000×2個=166000円、ウェアラブル心拍センサ分析ソフト 135000円、謝礼の品物 @1000~2000×30=50,000円、その他、文具等、学会発表のための交通費 @35000×3=105000円に使用する。
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