2016 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者の下肢機能の安定と向上を目的としたフットマッサージの効果の検証
Project/Area Number |
26671015
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 玲子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (00255960)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域在住高齢者 / フットケア / 下肢セルフケア / 圧刺激 / リラクゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:高齢者の健康管理のひとつに安楽をあげ、リラクゼーションの効果を持つフットマッサージの効果により、不定愁訴や疼痛・苦痛感からの軽減と下肢の安定性を向上させることを目的とした。 方法:研究3年目は、地域在住高齢者18人(男性4人平均年齢76.0歳、女性14人77.4歳)の協力を得てケアを3回実施してデータを得た。地域在住高齢者は、健康状態は社会活動や運動を行い、疾患管理をして自立した者であった。測定は、下肢の毛細血管の血液流量、足底圧力分布測定装置、循環器(血圧・脈拍・自律神経)、日常生活の状態、健康状態、フェイススケール等を把握した。介入は、フットマッサージ、データ収集後に38度温足浴を加えた。 結果:1)男女とも血流量やフェイススケールは快方向に移行した。足底圧分布は維持されたものの、循環器状態は血圧は個人ごとの変化が大きく一定の効果が示せなかった。2)事例:不慮の事故の回復過程で関節拘縮が生じたケースは、転落事故に遭遇後、リハビリテーションにより在宅での生活が可能になったものの、股関節部の関節可動域制限があり開排・屈曲範囲が狭まって、手が届かず下肢のセルフケアが行えず、下肢の爪切りや洗いが困難で、指間部の角質層が肥厚していた。これはADLの急激な低下と関節の拘縮によるものだった。約1か月1回、3か月継続して足浴と洗浄を行った結果、皮膚状態は改善して落屑の減少、肥厚した角質の減少、爪周辺部の変化があった。 考察:地域在住高齢者の下肢のケアに用いたフットマッサージ足浴により、精神的には安楽で、下肢の安定性も維持された。高齢期であり高血圧の管理を継続することが求められた。また、健康状態によりセルフケアが行えない者にとっては安楽に加えて、皮膚ケアが課題であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究2年目に、測定手法や方法を確立するために、女子大学生の協力を得てデータを収集した。循環器の状態を把握するために、起立検査を用いたデータを得た。女子大学生の健康な者の循環器のデータをまとめ、論文形式にまとめ投稿したところ、査読者から指摘を受けた。内容は、起立検査は、臨床診断診断では臥位から起立するところを、本研究では、椅子から起立させた日常的生活動作のデータであったため、臨床診断との整合性を問われた。現時点では、臨床診断の起立検査の方法である、臥位から立位で得たデータがないため、女子学生10人の協力を得て追試を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
健康な世代である女子大学生のデータについて、循環器の状態を検討するために、今後臨床診断の方法を用いて、データを得て検討する。日常的な行動動作でもある椅子からの立ち上がりによって生じる血圧の変化と同意性があるのか、異なっている点がないか、検討する。 高齢者のデータ収集は終えているため、分析を継続して論文にまとめ投稿を行う予定である。 今後の検討課題は、身体能力が低下する時期の高齢者が、下肢のセルフケアを継続してできるようにするため、自力で使う補助用具や物品などが必要と考えられる。
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Causes of Carryover |
論文投稿の過程で、査読者から、測定方法についての意見をいただいた。研究2 年目の研究対象であった女子大学生のデータを追試験し、検討しようと計画したため生じた。起立試験の臨床測定方法である臥位・立位と、日常生活動作の椅子に座位・立位の循環器(血圧・脈拍・自律神経)について、10例を得て比較する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度分の研究費の使用は、測定時のデータ整理と統計分析用ファイル化・論文投稿に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)