実務経験者を対象とした認知症高齢者看護の学習・教育方法論の構築

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26671021
• Research Institution: Juntendo University
• Principal Investigator: 湯浅 美千代 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (70237494)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 諏訪 さゆり 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (30262182)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 認知症高齢者 / 認知症看護 / 実務経験者 / 教育方法 / 学習方法

Outline of Annual Research Achievements

実務経験者を対象とした認知症高齢者看護の学習方法ならびに教育方法を理論化することを目的とし、３つの研究を柱として探求している。
平成26年度は、研究１：6名の実務経験者を対象とした認知症高齢者看護教育の経験をもつ者を対象としたインタビュー、研究２：4名の実務経験をもって認知症高齢者看護を専門的に学んだ学習者を対象としたインタビューを行った。逐語録化し、現在代表例（１名、教育経験者）を分析した。結果として、特に効果的な教育手法として、これまでの経験を事例としてまとめ、グループ学習する方法があげられた。実習では、アセスメントに課題があることが示された。これについてはほかの対象者からもあげられていた。また、実習指導では臨地の実習指導者の影響も大きいが、教員のフォローも重要であり、認知症高齢者とその看護の現状について、ありのままを言語化し他者（スタッフ等）に示すこと、さらに看護実践につなげていくまでをフォローすることがあげられた。さらに、修了までの期間は半年（認定看護師）あるいは2年（専門看護師）であり、認知症看護を学ぶには不十分とし、資格試験に向けて修了後に行った実践事例を振り返りまとめる過程までを含めた教育が行われていることが明らかになった。今後、対象者数を増やし、順次分析を進める。
研究３：実務経験者の教育・学習に適用できる教育理論、学習理論の探索を行い、研究者会議を開催して検討した。インタビューを行った教育経験者から学習者のアセスメントが課題としてあげられたこと、文献で実践における課題として倫理的観点での意思と行動のギャップがあげられていることから、論理的思考、意思決定に関する思考についての理論が活用可能とされた。さらに文献の探索を進め、研究１、２との統合を図る予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究１、２の対象者である実務経験者は、現在も実務につき多忙であるため、依頼してから承諾までに時間がかかり、またインタビューが可能な日の調整にも時間がかかった。そのため、まだ十分な対象者数を得ることができていない。特に学習経験者については、強制力がかからないよう配慮を行っていることもあり、対象者の依頼に時間がかかっている。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度の前半では、研究１、２のインタビュー対象者を増やしインタビューデータの収集を継続する。そのため5～9月に開催される関連学会に参加し、対象者となりうる人に本研究についてＰＲする。研究３に関しても文献の集積を引き続き行う。8～9月に検討会を開催し、研究１、２、３の統合による認知症高齢者看護の構造化を行う。また平成27年度の後半でも追加のインタビューを行い、これらのデータを含めた分析を行い、実務経験者に対する認知症高齢者看護の教育・学習の課題および具体的な教育方法・学習方法を取り出す。この結果を研究３で選択した理論と看護の本質に照らして、認知症高齢者看護の教育・学習の方向性を示す。1月～2月に認知症高齢者看護の実践者、教育実践者と検討する専門家会議をもち、構造化した認知症高齢者看護および教育・学習の方向性について、アイディアを得て、修正する。認知症高齢者看護および教育・学習の方向性は、具体的な要素を含めて理論構成する。研究１、２は研究代表者（湯浅）が、研究３は分担研究者（諏訪）がそれぞれ連携研究者との共同して推進する。6月までに検討会等会議日程の調整を行い、確実に実施できるようにする。
平成28年度では、構造化した認知症高齢者看護および教育・学習の理論構成について、実際に活用可能な内容にしていくために、内容の網羅、活用可能性と運用手法について、認知症高齢者看護の実践者、教育実践者を含めて検討する。

Causes of Carryover

研究１、２でインタビューを行うため対象者を募ったが、応募が予定よりも少なかった。また、インタビュー対象者は実務者として多忙なためインタビューの日程調整が難しく、実施までに時間がかかった。そのため、予定していたテープおこしの業者委託の金額が少なくなった。また平成26年度は予定していた関西ではなく、都内や所属する大学内で行ったため旅費がかからなかった。
研究３として、既存の文献・書籍の分析を行っているが、必要な書籍を探索したところ、さまざまなものが必要となり、分担研究者、連携研究者がもつには予定より高額になる見込みになった。そのため、平成26年度は購入する書籍を最小限とし、まず、研究１、２として行っているインタビュー調査にかかる経費としてテープおこしの業務委託費を優先して使用した。結果として未購入の書籍が多くあり、次年度に購入することにした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

研究３に必要な書籍を研究代表者、分担研究者、連携研究者、研究協力者分を購入し、分析を進め、定期的な会議をもって分析結果を統合していく必要がある。そのため、平成26年度の残額は必要な書籍の購入費用にあてる。
研究１、２のインタビュー調査は継続して行い、研究１、２、３をまとめる専門家会議を開催する。これらにかかる旅費（交通費）および謝金、テープおこしの業者委託を支出する。インタビュー対象者が多く集まる学会に参加し、本研究のＰＲを行って研究協力を依頼する。このための旅費（交通費）を使用する。