脳神経刺激を介する大脳前頭前野活性化の解析と認知機能リハビリテーションへの展開

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26671027
• Research Institution: Fukuoka College of Health Sciences
• Principal Investigator: 大倉 義文 福岡医療短期大学, 保健福祉学科, 教授 (80352293)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 力丸 哲也 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 准教授 (10299589)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 認知機能 / 学習効率 / 大脳前頭前野 / 脳内変化 / 近赤外線分光法

Outline of Annual Research Achievements

近赤外線分光法(NIRS)による大脳前頭前野の機能局在部位の活性化について、顔面頬部寒冷刺激とミント系嗅覚・味覚刺激による左腹外側前頭前野（Lt.VL-PFC）と左背外側前頭前野（Lt.DL-PFC）の２つの機能局在部位の活性化に関する解析結果を再度検証した。さらに、上記の寒冷刺激や味覚刺激の直後に、遂行機能や選択的注意機能の評価検査の一つであるStroop テストの学習効率を測定することで、顔面頬部寒冷刺激やミント系味覚刺激に伴う学習効率の変化と上記の２つの機能局在部位の活性化の変化との関連について、統計学的解析を実施した。それらの解析により得られた結果を新しい知見として、平成29年7月開催予定の第40回日本神経科学大会において演題発表する準備を進めた。また、これまでの知見の一部を取り纏め、日本神経科学学会の学術機関誌であるNeuroscience Researchに投稿することができた（Title: Facial cheek and intra-oral cold stimuli elicit increased prefrontal cortex activation and improve cognitive performance with Stroop test.）。
また、学内の倫理審査委員会から倫理審査の承認が得られた高齢者施設入所者を対象とする口腔ケアによる認知機能の変容・向上に関する臨床研究を開始し、実施継続している。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究計画では、１）申請者が見いだした脳神経刺激を介する大脳前頭前野機能局在部位の活性機序の解析と、２）各脳神経刺激課題による前頭前野活性化に伴う認知機能や学習効率の変容・向上の検証の２つの研究の柱がある。
１）について、顔面頬部寒冷刺激やミント系嗅覚・味覚刺激による機能局在部位の活性化に関する解析の再検証と、遂行機能や選択的注意機能の評価検査の一つであるStroop テストの学習効率の変化と機能局在部位の活性変化との関連について統計学的解析を行った。それらの解析から得られた新しい知見を、平成29年7月開催予定の第40回日本神経科学大会において演題発表する準備を進めるとともに、これまでの知見の一部を取り纏め、日本神経科学学会の学術機関誌であるNeuroscience Researchに投稿することができた。
２）については、学内の倫理審査委員会から倫理審査の承認が得られた高齢者施設入所者を対象とする口腔ケアによる認知機能の変容・向上に関する臨床研究を開始することができ、実施継続している状況である。
上記の進捗状況から、認知機能リハビリテーションの開発をめざす萌芽研究としておおむね順調に進展していると自己評価している。

Strategy for Future Research Activity

当該年度の研究成果として得られた、顔面頬部寒冷刺激やミント系嗅覚・味覚刺激による機能局在部位の活性化に関する統計学的解析結果について、さらに再現性の確認と検証を進めたい。また、ミント系味覚刺激による機能局在部位の活性化に関して、これまでの知見とともに取り纏め、日本神経科学学会の学術機関誌であるNeuroscience Research等への投稿準備を進めたい。
また、学内の倫理審査委員会から倫理審査の承認が得られた高齢者施設入所者を対象とする口腔ケアによる認知機能の変容・向上に関する臨床研究を継続実施するとともに、統計学的解析も進める予定である。

Causes of Carryover

当該年度の研究成果として、①顔面頬部寒冷刺激やミント系嗅覚・味覚刺激による左腹外側前頭前野（Lt.VL-PFC）と左背外側前頭前野（Lt.DL-PFC）の２つの機能局在部位の活性化に関する再検証結果が得られ、さらに、②遂行機能や選択的注意機能の評価検査の一つであるStroop テストを用いた学習効率に関する検討と統計学的解析を実施した。さらに、③これまでの知見の一部を取り纏め、日本神経科学学会の学術機関誌であるNeuroscience Researchに投稿することができた。また、④高齢者施設入所者を対象とする口腔ケアによる認知機能の変容・向上に関する臨床研究を開始し、実施継続している状況である。それに伴う新たな研究の方向性の検討と詳細な解析を進めたために、未使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

当該年度の研究成果として得られた、顔面頬部寒冷刺激やミント系嗅覚・味覚刺激による機能局在部位の活性化に関する新たな知見や統計学的解析結果について、再現性の確認と検証を実施するとともに、学術論文投稿のために研究費を活用する。
また、高齢者施設入所者を対象とする口腔ケアによる認知機能の変容・向上に関する臨床研究を継続実施するために研究費を有効に活用することで本課題研究の推進につなげたい。